2021 Fiscal Year Research-status Report
警察組織の非軍事組織化による職員の意識変化:比国を事例として
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17K18448
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Research Institution | Japan Coast Guard Academy (Center for Research in International Marine Policy) |
Principal Investigator |
奥薗 淳二 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), 国際海洋政策研究センター, 准教授 (30725289)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 軍警察関係 / 組織社会化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が目的としているのは、概要でも述べたとおり、軍から警察組織が分離独立したとき、組織とともに変化することを求められた軍人たちはいつ、どのように警察組織の職員としての専門性を得、あるいはアイデンティティを確立していくのかを分析しようとするものである。 調査の核となる大規模なサーベイ調査が新型コロナウイルスの感染拡大等による遅延のため、研究計画に大幅な修正を迫られることとなったが、2020年度にようやくデータセットの作成にこぎつけることができた。 本年度は分析と論文執筆に充てることができ、単著論文「非軍事のPCGへの組織社会化過程:軍組織経験のUnlearningに対する職務経験の影響」を発表した。この論文では、「軍人出身者が法執行官(Coast Guard職員)になる」という現象において、Coast Guard職員としての活動経験がCoast Guardに対する組織社会化のプロセスの一部にどの程度寄与するのか?具体的には、Coast Guard職員になるまでに培ってきた行動規範や価値基準、考え方がCoast Guardに適合的でない場合、それらをUnlearningする段階にどの程度影響するのか、そして、軍での経験がこのプロセスにどれほどの影響を及ぼすのかについて、PCG職員に対するサーベイ調査から得られたデータをSEMを用いて分析した。その結果、Unlearningに影響するものとして、PCG職員としての経験のほか、軍経験や家庭環境が影響を持つことが明確となったものの、OfficerとNon-Officerとでは、その影響の有無や度合いは異なっていることが明確となった。 ただし、上述の研究は「PCG職員になる」という過程の前段階までを分析したにとどまっており、来年度はさらにその先の分析を進めていくこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度と同様であるが、新型コロナウイルスの感染拡大及び調整相手であったPhilippine Coast Guardの長官の交代により、最初から調整をやり直さなければならない事態となった。このため、予定されていたアンケートの配布及び回収が遅延した結果、研究計画に大幅な修正を迫られることとなった。 また、今年度における分析の過程で、自分自身の思考回路に修正を加える条件は本当に「軍出身のPCG職員」と「軍出身でないPCG職員」とでは異なるのか?つまり、本研究の文脈において、両者は相異なる存在といえるのだろうか、という疑問が生じたことから、上述のような分析を実施することを優先することとしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、再延長が認められたため、得られたデータを分析し、研究成果を出すことにつきる。当面、軍人としての経験がCoast Guard職員の組織社会化にどの程度影響しているのかを分析する。次に、日本のキャパビル施策がCoast Guard職員の組織社会化にどの程度の影響を持っているのかを統計的に分析する。
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Causes of Carryover |
最終的に発表予定の論文は国際ジャーナルへの掲載を目指すことから、英文校正にかかる費用を残すため。
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