2017 Fiscal Year Research-status Report
Identifying archaeo-chemical evidence for dairy production in Ancient Japan
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17K18522
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
庄田 慎矢 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (50566940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植月 学 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (00308149)
桑田 訓也 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (50568764)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 考古学 / 考古生化学 / 乳製品 / 古代 / 中世 / 脂質 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の最初のケーススタディーとして、平安時代の牧と想定されている山梨県百々遺跡から出土した土器片を、本研究のために山梨県埋蔵文化財センターより試料提供を受け、試験的な分析を行った。分析の結果、これらの資料のうち最も良好な脂質の残存が確認された1点について、英国ヨーク大学考古生化学研究所に設置されているGC-c-IRMSによって個別脂肪酸の炭素安定同位体比を測定した。その結果、この土器に含まれる脂質は乳製品由来ではないものの、反芻動物の脂肪に由来するものであることが明らかになった。これを受けて、この有機物がウシに由来するのか、同じく反芻動物であるシカに由来するのかを確認するのに必要となる同試料の残存タンパク質分析を行うために、ドイツ・マックスプランク人類史科学研究所より専門家を招聘した。この際に、残存タンパク質分析のためのサンプリングを行うと同時に、今後の短期および長期にわたる共同研究計画について討議した。またこの機会を利用して、セミナー「ヨーロッパの考古科学と日本の動物考古学の出会い」を2018年2月10日に奈良文化財研究所にて開催し、国内外の動物考古学やタンパク質分析の専門家や研究分担者らによる討議と情報交換を行った。分担研究者である植月は地方の牧の遺跡における動物骨の組成について整理し、同じく分担研究者である桑田は木簡に書かれた内容から平城宮京内での乳製品の動きを追跡し、整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は実験施設の準備に大半の時間を費やす計画であった。しかし、実際にはそれとともに様々な情報交換や海外機関での測定を進めることができた。また、非常に有意義な国際研究集会を開催することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
奈良文化財研究所内において脂質抽出およびGC-FID、GC-MSの測定を行う体制を整備し、乳製品の搬入先であり、消費地である平城宮京関連遺物の分析を行う。
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Causes of Carryover |
分担研究者が分担金を効率的に執行したため、少額の残額が発生した。これを次年度の予算と合わせまとまった金額とすることで、効率的な執行を計画している。
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