2017 Fiscal Year Research-status Report
The End of the Cold War and the Eurasian Border, Environment and Society: Inter-Disciplinary Study toward Developing the Global Comparative Theory
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17K18531
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
花松 泰倫 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 講師 (50533197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
地田 徹朗 名古屋外国語大学, 世界共生学部, 准教授 (10612012)
浅田 晴久 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (20713051)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | ずれ / ナショナルボーダー / 環境ボーダー / 社会ボーダー / 中露国境 / アラル海 / アッサム / 衛星画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず8月に名古屋外国語大学にて研究代表者と研究分担者による第1回運営ミーティングを行い、これまでの研究を相互に紹介しながら、本研究課題である「冷戦後ユーラシアにおけるナショナルボーダー・環境ボーダー・社会ボーダーの相関とずれ」について焦点と視角を定める準備作業を行った。その上で同じく8月に九州大学にて、連携研究者を含めた第1回全体ミーティングを開催し、本研究課題の狙いと計画を共有し、それぞれの役割を確認した上で、数冊の基礎的文献をもとに今後の方向性に関する議論を行った。 現地調査として、花松が8月に中露国境地域のハバロフスク-撫遠を訪問し、実際に越境しながら人・モノの動きを探る作業を行った。また地田も8月および2月にカザフスタン、ウズベキスタンを訪問し、アラル海における災害復興状況や生業の変化、国境管理の実態について調査した。さらに浅田は2月から3月にかけてインド・アッサム地方を訪問し、バングラデシュとブータンに囲まれる国境地域で人の移動がどのように変化しているかについて聞き取り調査を実施した。また、連携研究者である大西による計量分析、渡邊によるリモートセンシング作業のため、カザフスタンとウズベキスタン国境地域の衛星画像データを購入し、分析を開始した。 これらの調査分析をもとに、研究代表者、研究分担者を中心として多数の論文執筆、学会発表、図書刊行を行った。 最後に3月には京都大学にて第2回全体ミーティングを行い、それぞれの現地調査とその成果を相互に報告した上で、次年度以降の調査および研究、出版計画について意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に記載した平成29年度の研究計画は、全体ミーティングでの研究計画策定、各種フィールド調査、関連文献の収集・講読、衛星画像の収集・解析であったが、これらすべてについて概ね順調に推移している。 全体ミーティングでは、ナショナルボーダー、環境ボーダー、社会ボーダーの三者間の「ずれ」の実態と背景を明らかにすることが本研究課題の狙いであり、そのために社会科学研究者によるフィールド調査と自然科学研究者による衛星画像解析を組み合わせた文理融合型研究を目指すことを確認した上で、それぞれの役割分担を確定した。 この計画に基づき、ほぼ当初の予定通り、各メンバーによる現地でのフィールド調査、衛星画像分析を行った。また、論文や図書の執筆、学会発表等については、当初の想定以上に進んでいる。 さらに、年度末の第2回全体ミーティングにてそれぞれの調査研究成果を共有し、次年度以降の調査および出版計画について議論を行うことができた。 従って、全体として見れば当初の計画のとおり、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は当初の計画のとおり、前年度に引き続く形で、全体ミーティングの開催、文献収集・分析、各種フィールド調査、衛星画像の収集と解析、計量モデル構築などを行い、出版計画を具体化していく。また、前年度に連携研究者として協力頂いた柳澤、大西を研究分担者に加え、渡邊は研究協力者の形で参加する。 現地フィールド調査は、中露国境地域(花松)、カザフスタン・小アラル海地域(地田)、インド・アッサム地方(浅田)、ベトナム・中国国境地域(柳澤)などを予定している。定量・定性分析については、衛星画像分析を渡邊、計量的把握モデル構築を大西が担当する。 また、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター・ボーダースタディーズユニットと連携し、さらに広がりのある共同研究の企画、セミナー等の開催や、出版計画(学術雑誌「地域研究」「境界研究」など)を進めて行く予定である。 さらにこれらの成果を、2018年度日本政治学会研究大会「ボーダースタディーズの新展開―欧米日の主権・統治・領域性をめぐって」での報告およびコメント(花松)、日本沙漠学会第29回学術大会での研究報告(地田・渡邊)によって公表する予定である。 最後に年度末には全体ミーティングを行い、調査研究結果の情報共有と議論を踏まえながら、翌年度に計画している学術雑誌への投稿について具体的な作業を開始する。
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Causes of Carryover |
平成29年度に未使用額が発生した理由は、以下の通りである。(1)予定されていた地田のウズベキスタン現地調査、浅田のバングラデシュ現地調査について、別財源での執行が可能となったため。(2)衛星画像データの収集について、当初の予定より安価なデータが入手できたこと。また、収集すべき地域の選定に追加的な時間を要し、次年度に繰り越す決定を行ったため。 これらを踏まえた平成30年度における使用計画は以下の通りである。(1)平成29年度に別財源で実施した現地調査は、本研究課題のテーマと関連はするが、直接の関連性はなく、本研究課題の本来の目的に沿った形で行ったわけでは必ずしもない。従って、今年度はこの未使用額を充当し、本来の目的に沿った現地調査を重点的に行う計画である。(2)衛星画像データとして収集すべき地域の選定を早急に行い、未使用額を充当して収集・解析を進めていく計画である。
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Research Products
(29 results)
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[Book] 丸善出版2018
Author(s)
環境経済・政策学会編、花松 泰倫 ほか
Total Pages
814
Publisher
環境経済・政策学事典
ISBN
978-4621302927
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