2019 Fiscal Year Annual Research Report
Formation of Late-Modern Buraku, and the Structure of the Agreement: Buraku and the Development of Military Cities
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17K18601
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Research Institution | Institute on Social Theory and Dynamics |
Principal Investigator |
小早川 明良 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (10601841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 秀男 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (50079266)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 被差別部落の形成 / 日本の近代 / 軍都の部落問題 / 海軍鎮守府 / 底辺労働者 / 差別のまなざし / 資本と被差別部落 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、1900年代初頭の京都府舞鶴市と、広島県呉市に旧海軍鎮守府が造営される過程で形成された被差別部落ついてまとめた。舞鶴では、4カ所の新たな被差別部落を鳥取県内の被差別部落に由来するとした先行研究の誤りを実証した。全国から工事中に集まった労働者のうち、工事終了後諸事情で帰郷困難となった人たちが、海軍関係の底辺労働に滞留した。そして、自ら飯場を形成し自律的な労働力供給装置として被差別部落が形成された。本研究はその意味を明らかにした。呉市の分析では、屠畜、食肉生産とのかかわりで形成されたとする先行研究の誤りを実証した。実際は、雑業に従事する労働者が、行政による公営住宅建築などの融和事業を受容し、被差別部落民として認定され大規模なコミュニティを形成する過程であった。共同研究者の青木秀男は、部落問題研究に今なお影響を与える講座派と労農派の学説を批判し、宇野経済学の方法論を批判的に継承した新たな研究の方法に挑んだ。それは、小早川の実証的な部落問題研究が、段階論から原理論に再び反映される研究の道筋を見いだす端緒となった。 研究が一定の成果をみたので、2020年3月18~19日、静岡大学の黒川みどり氏を招きフォーラムを開催した。黒川氏は「近代社会における部落差別と人種主義」、小早川は「被差別部落の成立と資本主義・彼らはどのように被差別部落民になったのか」、青木は「日本資本主義と封建論争~日本資本主義論争から」を報告した。広島市の社会理論・動態研究所には、京都、大阪、東京の研究者が参集した。 国際的な部落問題研究発展のために、本年度は、海外からの研究者を含めた英語による社会理論・動態研究所のフォーラムで研究報告を行った。また、米国の研究者を2度当研究のフィールドである被差別部落に案内し知見を共有した。本事業の成果を公開している英語版のウェブサイトには50カ国からの訪問者を得た。
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Remarks |
ウエブ・サイトは、全体が英文で構成されている。上記は、論文であるが、フィールドワークや、そこから得られた知見もesseyとして掲載されている。ななお、2020年2月までの論文がアップロードされている。
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Research Products
(6 results)