2017 Fiscal Year Research-status Report
アイヌ古式舞踊・歌の記録・保存・伝承・教育用データシステム構築にむけた基礎研究
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17K18603
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
岩澤 孝子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40583282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百瀬 響 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10271727)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | アイヌ古式舞踊 / 伝承 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度の主な実績は、①アイヌ古式舞踊・歌に関する先行資料の収集と②鵡川アイヌ文化伝承保存会での集中的な現地調査の2点である。 特に、②の現地調査は、(ア)対象の保存会において、北海道文化財保護協会が平成2年度の調査で報告した「9つの鵡川のアイヌ古式舞踊」が現在どのように伝承されているかを記録し、(イ)これらの映像を保存会が将来の伝承ツールとして活用できるようにするために「これからの伝承・教育をどうするべきか」という観点から、教材としての機能を備える映像の編集方法について、調査協力者(保存会のメンバー)に聞き取りをする、という2つに重点をおいて実施した。 鵡川での調査は、ウポポ、ホリッパ1、ツルの舞、フッサヘロ、イョンルイカ(子守唄)、ヤイサマ(叙情歌)、イウタウポポ、ヤイサマ、ホリッパ2の全ての演目を、現在の伝承者がどのように演じているか撮影し、過去との違いなどについて聞き取りを行った。その結果平成2年度の調査時と平成29年度の調査時では、保存会の主要な構成員が入れ替わったために、これら9つの芸能が当時と同じようには演じられていない、すなわち、約30年の間に「文化変容」が生じていることが明らかになった。 例えば、即興的な作詞と歌唱の才能が求められる「ヤイサマ(叙情歌)」は、平成2年度の調査では確かに存在したが、今回の調査時点では、伝承者がいない状態であった。 調査の過程で、調査者はインフォーマントに対して、今後の伝承のあり方、つまり、「現在の文化保持者らが次世代に残したいものは何か」を問いかけている。単純に答えの出る問いではないが、その答えを映像編集という形で具体化する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科学研究費の採用決定時期が7月であったために、本研究の基礎となる現地調査の開始準備が遅れてしまった。それにもかかわらず、鵡川アイヌ文化伝承保存会の協力のおかげで、H29年度10月から11月にかけて集中的な調査を実施できたことから、本研究が概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、①今年度の調査結果を受けて、鵡川アイヌ文化伝承保存会版の伝承教材としての映像を編集・作成する。②樺太アイヌの舞踊・歌を調査する。の2点に重点を置く予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度の調査開始時期が当初予定よりも遅れたため、次年度へ持ち越された調査内容がある。次年度の科研費使用にかかる研究の具体的内容としては、鵡川アイヌ文化伝承保存会への補足調査、樺太アイヌ伝承者への聞き取り調査、学会発表(旅費)、映像編集作成のための専門家および補助学生への謝金等である。
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