2017 Fiscal Year Research-status Report
A transdisciplinary, integral and theory-oriented study for the preservation, innovation and presentation of 'Japansese language and culture'
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17K18610
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
津城 寛文 筑波大学, 人文社会系, 教授 (30212054)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 日本文化 / 深層文化 / 頂点文化 / 日本語表記 / 翻訳 / 通訳 / 自動翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
採択以前より、採択された研究課題を準備していたので、採択後すぐに、協力者、研究仲間とともに、シンポジウム&セミナー、プレゼンテーションを行った。 国内では、平成29年11月18日、19日にわたって、「日本語・日本文化の保存・刷新・発信をめぐる諸問題」という統一テーマで、シンポジウム「日本語の翻訳と表記――自動翻訳の時代を見据えて」を開催、池田和弘氏「異言語と日本語との接点」、實川幹朗氏「ヨーロッパ思想語と大和言葉」、津城寛文「単純/複雑、明示/暗示」の3つのプレゼンテーションを行い、コメンテーター秋山学氏による問題の掘り下げを行い、総合討議を行った。2日めは、そこで浮き彫りになってきた問題について、菅浩二氏、木村はるみ氏の参加を仰ぎ、さらに問題を広げるセミナーを開催した。 11月21日~29日、スペイン・カタルーニャ州のバルセロナ自治大学Universitat Autonoma de Barcelona、翻訳・通訳・アジア東洋研究学科Departamant de Traduccio i d'Interpretacio i d'Estudis de l'Asia Orientalの研究者、Gustavo Pita氏の招きで、同大学を訪問、22日に、同学科の教員・学生を中心とする聴衆向けに、‘From <Deep Culture> to <Peak Culture>: A Presentation on Japanese Culture’「深層文化から頂点文化へ――日本文化に関する発信」という講演を行った。 講演のアレンジ、通訳をしていただいたPita氏、また同僚のBlai Guarne氏らと、次年度以降の日本でのシンポジウム&セミナーの開催について、検討した。あわせて、それぞれの本務校のあいだでの、翻訳、通訳、比較文化の共同研究の可能性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請段階より、課題の研究にとりかかっていたこと、また採否に関わらず、協力者たちと研究交流をしていたことから、採択後は、費用の問題で開催できなかったシンポジウム&セミナーを、採択後半年足らずの11月に、採択決定以前から準備をしていたため、速やかに計画、実施することができた。 加えて、研究費を得たことで、バルセロナ自治大学を直接訪問でき、先方の研究者とface to face で、関係を築くことができて、次年度以降の計画の具体的な形が見えやすくなった。 またホームページについて、業者とのやり取りが、予想よりスムーズに進み、予定より速やかに整備することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題として、(A)学術用語の単語の問題、(B)日本語の表記の問題、(C)日本語オリジナルの術語の問題、(D)頂点文化の問題を設定した。その後、(E)頂点文化の一つである和歌についての研究が、まとまった課題として浮き上がってきている。 それぞれについて、基礎的な論文を準備して、ホームページ上にアップするか、あるいは単行本にまとめて、中間報告として発表し、研究のたたき台にすることを検討している。(E)和歌については、市民向けの公開講座という形で、直接的な社会貢献を考えている。 シンポジウム&セミナーについて、平成30年度に開催予定の「翻訳」論に関して、招へい予定であったBlai Guarne氏が、日程の都合上、来日が困難とのことで、このシンポジウムは、31年度(最終年度)に振り替える。頂点文化に関するシンポジウムは、もともと来年度に開催予定だったので、最終年度には大きな国際シンポジウムを2つ、まとめて開催することになる。 国内的には、30年度6月~7月にかけて、自動翻訳を推進している、NICT(情報通信研究機構)の部門、ASTREC(先進的音声翻訳研究開発推進センター)の成果を参照しつつ、自動翻訳に適合的な日本語の表記、文体に関して、インテンシブな研究会を開催する予定である。 秋には、スカイプを使った国際研究会を、最終年度の準備を兼ねて、試みる。
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Causes of Carryover |
当初の計画が予想以上に進展したため、30万円前倒ししたが、旅費が安価に済んだため、次年度使用額が生じた。平成30年度、シンポジウム&セミナー、研究会開催のための経費を充てる予定である。
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Remarks |
(1)は、本課題の全体を発信するためのホームページである。 (2)は、そのホームページの1つのサイトで、「科研費を使用して開催した国際研究集会」欄に記入した、「Seminari Permanent d'Investigacio i Doctorat」での発表原稿とその日本語訳を載せている。
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