書字表出障害の規定要因による類型化と学習支援の確立

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K18622
• Research Institution: Shinshu University
• Principal Investigator: 永松 裕希 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (60324216)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 上村 惠津子 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (30334874)
• Project Period (FY): 2017-06-30 – 2021-03-31
• Keywords: 読み書き障害

Outline of Annual Research Achievements

令和元年度に次の事項を実施した。1）昨年度に調査した小学校2年生（本年度3年生）、5年生（本年度6年生）の読み書きに関する縦断調査、2）中学校1年生の読み書きに関する調査の2点である。1）については、昨年度の調査対象を追跡調査し、小学3年生児童72名、小学6年生児童63名に対して包括的読み能力検査（CARD)を実施した。これらのデータの採点及び分析は終了し、現在平成元年度調査のデータとの紐付け作業及び1年間の経年変化についての分析を行っている。特に昨年度調査の分析で平均得点から－１SD以下に該当する低得点群の児童の変化については、2-3年生、5-6年生ともに、1年間で読解力の向上するケースと変化なし及び低下するケースが確認された。読み書きの問題が何らかの原因による一時的な学習不振であるのか、読み書き障害としてとらえるべきかの判断に、一定の示唆を与えてくれるかもしれない。これらのケースについては、より詳細な分析を下位検査の特徴から個別に進めている状況である。2）については、中学生を対象とした読み書き障害に関する調査報告が極めて少ないことから、基礎データの収集を目的に中学校1年生205名を対象に読書力診断検査を実施した。「読字力」「語彙力」「文法力」「読解力」の4点からの分析を進めている。現段階の分析では、低得点群の特徴は、語彙力の低さにおいて最も顕著であり、中学校段階の読み書き能力の特徴としてさらに分析を進めている。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

令和元年度の研究において、研究に関するインタビュー及び漢字書字に関する追加調査を行う予定であったが、インタビューについては学部運営の業務等のために延期の状態になっている。追加の調査については、令和2年2月から3月初旬に予定していたが、コロナ感染に伴う休校処置のため未実施である。改めて本年度実施する予定で調整を進めている。

Strategy for Future Research Activity

補足的データの収集については、現在学校と調整中であり、現段階では10月～11月の期間に実施する計画である。また、国内外の研究者からのインタービューについては、可能な限り遠隔会議等で実施する予定であるが、具体的なデータ分析に関する意見等の収集は、国内研究者に依頼する予定である。

Causes of Carryover

他の業務との重複から、先端的読み書き障害研究に関する情報収集のためのインタビューの一部が実施できていない。本研究の考察部分において必要であるため、旅費及び謝金として使用する。また、令和元年度に予定していた補足的データ収集（令和2年度2月に実施予定分）及び分析の一部が、調査対象校の臨時休校等により未実施であり、本年度の実施の予定で調整している。