2018 Fiscal Year Research-status Report
Grothendieckの変動的ホッジ予想への新アプローチ
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17K18723
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 秀司 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (50153804)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | リジッド解析 / K理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホッジ予想はクレイ研究所が提出したミレニアム問題のひとつである.変動的ホッジ予想は,ホッジ予想よりは弱い予想であるが,アーベル多様体にたいしては同値である.最近の進展により問題は,形式的スキームの代数的K群にたいする代数化の問題に帰着される.これはGrothendieckの偉業である形式的存在定理を大きく一般化する難題でこれまで一般的アプローチは知られていなかった.本研究はこれにたいし,全く新しい一般的アプローチを提出する.具体的にはリジッド解析空間のK理論を新たに構築しリジッド解析的手法を問題に適用する.すでに基礎理論であるリジッド解析空間のK理論の構築がほぼ完成している.これを簡単に説明する.与えられたリジッド解析空間にたいしスペクトラルのpro-systemが定まる.これを解析的K群と呼ぶ.リジッド解析空間が形式的スキームに付随する解析空間である場合には、その形式的スキームの代数的K群のスペクトラルのpro-systemから解析的なK群のスペクトラルのpro-systemへ自然な写像が構成され、さらにそのファイバーが形式的スキームの下部空間である代数的スキームのK群のスペクトラルと同値であることが示されるのである. この構成により、形式的スキームの代数的K群にたいする代数化の問題が解析的K群の代数化の問題に帰着されるころになり、変動的ホッジ予想にたいするリジッド解析的なアプローチが可能になるのである.今後はこの新たな解析的K理論を変動的ホッジ予想以外の様々な重要問題に応用することも目標にしている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに基礎理論であるリジッド解析空間のK理論の構築がほぼ完成している.
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Strategy for Future Research Activity |
対象とするリジッド解析空間が代数多様体に付随した解析空間である場合に、 リジッド解析空間のK理論から代数多様体にたいするコホモロジー的不変量へのチャーン類写像を構成することにより解析的K理論の研究を行う.具体的には基礎体がp-進体の場合に、リジッド解析空間のK理論から代数多様体のサントミックコホモロジーへのチャーン類写像を構成する.これにより目標である形式的スキームの代数的K群にたいする代数化の問題が、p-進体上の代数多様体にたいするBloch-Kato予想と関係づけることを目標とする.
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Causes of Carryover |
当該研究分野における優れた研究者を日本に一定期間招聘し、および当該研究者が相手方を一定期間訪問して研究連絡を行い、研究に必要不可欠な知見を得ることにより平成31年3月までに研究成果を取りまとめる予定であった。双方の諸々の事情により、これらの計画を遂行することが不可能となり、研究の継続に大きな支障が生じた。そこで来年度に時期を延期・変更した。
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Research Products
(14 results)