2017 Fiscal Year Research-status Report
Experimental study on nuclear-spin selection rules in gas-phase chemistry
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17K18795
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
羽馬 哲也 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (20579172)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 核スピン選択則 / 気相化学反応 / 核スピン異性体 / 星間化学 / 彗星 / 星間分子雲 / 原始惑星系円盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,気相化学反応における「核スピン選択則」を実験的に調べるために必要となる「パラ水素発生器」の設計をおこなった.また,水素(H2)をパラ化するために必要となる触媒や10Kヘリウム冷凍機,真空排気ユニットについても選定をおこない,パラ水素発生器作製についての準備はほぼ整った. さらに実験をおこなうにあたり,ターゲットとなる化学反応の候補を調査した.当初の予定ではまず,星間雲における気相H2O生成反応として知られている“H2 + OH → H + H2O”に着目する予定であった.しかしながら,“H2 + OH → H + H2O”の反応は,室温における速度定数が,7×10-15 cm3 molecule-1 s-1と遅いことが判明した.そのため,生成したH2Oについて,核スピン異性体を区別して感度良く検出することが困難である可能性が生じた. そこで,代替となる反応がないか文献調査を行ったところ,"H2 + CH → H + CH2"は,室温における速度定数が2×10-11 cm3 molecule-1 s-1と大きく,生成したCH2の核スピン異性体比を調べられる可能性が高いことが明らかになった.さらに,CHラジカルはブロモホルム(CHBr3)の光分解によって生成できるため,実験的に実現可能性の高い系であることもわかった. 今後は,パラ水素発生器を組み上げととともに,生成分子の検出に用いる「レーザー誘起蛍光法」を行うための光学系を構築することで,実験装置の完成を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験に必要となる「パラ水素発生器」の設計は終了し,ターゲットとなる反応についても複数の候補を挙げることができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,パラ水素発生器を組み上げ,ならびに,レーザー誘起蛍光法のための光学系を設計・構築に取り組む予定である.準備が完了次第,“H2 + OH → H + H2O”で生成したH2Oの核スピン異性体を測定できるかどうか調べる.万が一できなかった場合は,代替として,"H2 + CH → H + CH2"について調べる予定とする.
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Causes of Carryover |
当初計画していた見積もりよりも安価で実験に適した消耗品を購入できたため.今後は,レーザー誘起蛍光法を行うための光学系の構築に必要となる消耗品を購入する予定である.
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Research Products
(27 results)