2018 Fiscal Year Research-status Report
Challenge to create a new type of composite materials : frozen emulsion
Project/Area Number |
17K18969
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
Komarov Sergey 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (20252257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 昇 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (70166924) [Withdrawn]
山本 卓也 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (10804172)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | フローズンエマルジョン / 複合材料 / 超音波 / Al-Bi系 / 高粘度母液 / 粒子分散 / 凝固 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年度の研究は、金属系と非金属・金属系の「フローズンエマルジョン」複合材料の製造プロセスの構築を目指して、Al-Bi系の高温実験と高粘度液体モデル実験を行い、最適な処理方法と条件を明確にし、エマルジョン化の機構の解明を行った。その結果を以下に概説する。 1.Al-Bi系複合材料 溶融状態(720~800℃)で非溶解性のAl-Bi系2液間界面に超音波を与えることでAl母相中にBi粒子を分散し「フローズンエマルジョン」複合材料を作製することができる。しかし、Bi濃度が6wt%を超えるとBi粒子の直径と分散均一性ばらつきが大きくなることが分かった。また、Al-Bi系複合材の機械的性質と鋳造性の両面でバランスのよい化学成分を検討し、様々な添加元素の影響を明確にした。例えば、溶融Al-Bi合金に0.4wt%のMgを添加するとAl母相中にMg3Bi2化合物が生成し、その次の凝固段階でBi粒子生成に対する異質核機能を持つことが確認された。また、2.0wt%のZnを添加することでAl母相とBi粒子の間の結合が強くなり、Al母相の強度が向上することが分かった。 2.高粘度母液でのエマルジョン化 金属と非金属(例:酸化物)の系の「フローズンエマルジョン」複合材料を合成するプロセスについて検討を行った。まず、溶融酸化物の粘性が高いため、グリセリン・ガリウム系を用い、高粘度条件で超音波照射によるエマルジョン化が可能かどうかをモデル実験により確認した。グリセリン・ガリウム系においてはガリウム粒子が水・ガリウム系に比べ大きくなるが、超音波振動の振幅を低くして、超音波照射時間を長くすることによって微細なGa粒子が得られることが示唆された。粒径分布を測定するためには、改造した真空濾過装置により採取した粒子をSEM顕微鏡により観察・解析した。また、高粘度母液中に分散されたGa粒子は密度がグリセリンに比べて6倍大きいのに粒子の沈降速度が非常に遅いため安定なエマルジョンを形成できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 金属・非金属のエマルジョン実験では金属として溶融Alを、非金属として融点の低いNa2O-B2O3の酸化物溶融塩を用いる予定があったが、予備実験を行った結果、酸化物のAlによる還元反応が進行することで反応生成物のNaが大気中酸素と反応して、激しく燃えることが明らかになった。従って、Al/Na2O-B2O3の系はエマルジョン実験に不適切であると判断した。純B2O3の場合には高温条件 (800℃)においても粘性が非常に高いためエマルジョン化処理が難しいという課題がある。そのためには、上述通り、まずは粘度の高い母液を用い、エマルジョン化モデル実験を行うことにした。 2. エマルジョン生成過程をシミュレーションできる数値解析モデルを作成するのにやや遅れがある。その理由として、エマルジョン化機構について理解がまだ不十分な点があるためモデル構築が今の段階では難しい点が挙げられる。従って、これからも水や有機液体などを用い、エマルジョン化機構を解明するための基礎実験を進めることを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、まず遅れている実験を優先的に行うとともに、これまで試作した複合材料の機能特性とリサイクル性の評価を進める予定である。具体的に、Zn-Bi系「フローズンエマルジョン」サンプルを試作して、ミクロ組織とZn母相中Pb粒子特性について調査を行う。また、Alによって還元しにくいと考えられるAl/Li2O-B2O3系の実験を行い、金属・非金属系の「フローズンエマルジョン」複合材料を合成するプロセスの有効性を確認する。さらに、水・ガリウムの2液系の超音波エマルジョン化実験をおこない、高速ビデオカメラでエマルジョン形成現象を撮影し、その機構についての理解を深める。その結果に基づいて、エマルジョン化のシミュレーションに利用するモデルの構築を進める。 これまで得られた複合材料のサンプルから試験片を切り出し、引張試験を行った結果から複合材料の機械的特性と加工性を評価する。また、複合材料のリサイクル性を評価する実験では、電気溶解炉を用い、坩堝内に入れた複合材料を融点以上の温度まで加熱した後、一定時間保持し、複合材料の母相と分散相と比重差を利用して分離する。実験後、相分離した試料の化学組成を測定したデータをもとに複合材料の分離率(=リサイクル性)を求める。実験結果から各複合材のリサイクル性に対する保持の温度と時間の影響についての基礎データを得る。
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