2017 Fiscal Year Research-status Report
Study of a novel high efficiency gene delivery method using microprojectile bombardment
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17K19223
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
尾形 信一 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (00314542)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝子導入 / ペプチド / 核移行 / 遺伝子銃 / 植物培養細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究提案では、植物細胞における高効率物質生産系に適用する新規遺伝子導入法の創製を目的としている。具体的には、従来、遺伝子銃の導入担体である金粒子に直接吸着させていた導入DNA に対して、DNA 結合能と核移行能を併せ持つインテリジェントペプチド分子を複合化することにより、遺伝子銃を用いて細胞内に遺伝子導入を行った後、能動的に、核に導入遺伝子が移行できる機能を付与し、自律的に核内への導入遺伝子の移行を制御する遺伝子導入法を確立することを目的とした。 本提案が可能になれば、従来の遺伝子銃を用いた遺伝子導入法と比較して、導入遺伝子が高効率に核内に移行することが期待され、大幅な遺伝子発現効率の上昇が期待できる。 今年度は、核移行シグナルの探索を行った。文献既知の情報として、SV40の核移行シグナルなど動物細胞で機能することが知られている配列などが候補として考えられた。これらペプチドは、塩基性アミノ酸残基のクラスターからなっており、その構造は、単一の塩基性残基のクラスターからなるものや分節型の塩基性残基のクラスターからなるものがある。これら核移行シグナルペプチドを、本来核に移行しないタンパク質に結合した場合、当該タンパク質を核に移行する機能を発現することが知られている。しかし、これら知見は哺乳類培養細胞を用いた系であり、本申請で提案した植物細胞に対して有効か否かの情報は得られなかった。 そこで、まずは、これら核移行シグナルをコードするDNA断片とGFPとの融合遺伝子を作製し、遺伝子銃を用いて植物細胞に導入することによって、動物細胞由来の核移行シグナルが植物細胞においても機能するか否かを、GFPの蛍光の核局在を指標に判定することを計画した。そのため今年度は、これらGFP融合遺伝子の作製を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、今年度はDNA結合性ペプチドの探索を行う予定であった。しかし、研究計画の遂行に必要な種々の情報を調査する過程で、核移行シグナルの選抜の際に、動物細胞で機能することが知られている核移行シグナルが、植物細胞においても機能するか否かの調査が先決であると判断した。そこで今年度は、動物細胞において機能することが知られている核移行シグナルの、植物細胞内における挙動を調査するために、核移行シグナルとGFPの融合遺伝子の作製を行った。 これは、当初の計画では2年目に行うものであったが、核移行が本研究の目標の達成に不可欠な素過程であることに加え、もし機能しなかった場合には、植物細胞由来の核タンパク質が持つ核移行シグナルを調査し、それら配列の採用も新たに視野に入れて研究を遂行する必要があると判断され、当初計画よりも前倒しで遂行する必要があると考えた。 現在までに、各移行シグナルを融合したGFP融合遺伝子の作成を行っており、近々、遺伝子銃によって植物培養細胞に導入し、その核移行能を調査する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、植物細胞内で機能する核移行シグナルを持つペプチドの選抜を行う。さらに、当初計画では1年目に予定していた、DNA結合性ペプチドのスクリーニングを、ファージディスプレイ法を用いて行う予定である。 最終的に、これらペプチド配列を化学的に合成し、遺伝子導入用のレポータープラスミドと複合体を形成させ、植物細胞に対して遺伝子銃を用いて遺伝子導入を行う予定である。導入用のレポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を用い、ルシフェラーゼの発光活性を指標に、遺伝子導入効率を測定する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は、当初の計画を一部変更し、ファージディスプレイ法によるペプチドスクリーニングを実施しなかった。そのため、遺伝子工学関連のキット類購入に関わる諸経費の支出が、当初計画よりも低くなった。そのため、次年度使用額が生じたものと考えられる。今年度は、ファいー次ディスプレイ法によるスクリーニングを予定しているため、上述の遺伝子工学関連のキット類を購入することに加え、当初の予定通りに予算を執行する計画である。
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