2017 Fiscal Year Research-status Report
Host-microbe symbiosis mediated through symbiogenic factors
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17K19231
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片山 高嶺 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (70346104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 道憲 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (00335308)
加藤 紀彦 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (40724612)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | シンビオジェニック因子 / 母乳オリゴ糖 / 水酸化脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、腸内細菌と宿主の共生を、その代謝物(シンビオジェニック因子)を介して理解することを目指している。本年度は特に、乳児腸管において優占種であるビフィズス菌とヒトの共生基盤を明らかとすることを目指して研究を行った。
・ビフィズスフローラ形成意義の解明 これまでの研究において我々は、人乳中に3番目に多く含まれる成分であるオリゴ糖(母乳オリゴ糖)がビフィズス菌の特異的増殖因子となり、母乳栄養児腸管でビフィズスフローラ形成を促すことを実証してきた。このことはヒトとビフィズス菌の共進化を示唆しているが、「ビフィズスフローラ形成がどのような生理的意義を有するのか」という点は未解明なままであった。本研究では、同じく母乳に含まれており、ヒトの必須脂肪酸であるリノール酸が、抗炎症作用のある10-ヒドロキシ-cis-オクタデセン酸(HYA)へと乳児腸管内で変換されていること、またその変換率がビフィズス菌の占有率と高い正の相関があることを見出した。 ・新しいシンビオジェニック因子の探索 人乳培地で培養したビフィズス菌抽出物に、マクロファージ様に分化させたTHP-1細胞からコレステロール排出活性を上昇させる効果があることを見出した。乳酸菌やビフィズス菌にメタボリックシンドロームの予防効果があることが良く知られているが、そのメカニズムは不明なままである。本化合物を単離同定することで、その作用機序解明が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・ビフィズスフローラ形成意義の解明 抗炎症作用を有する10-ヒドロキシ-cis-オクタデセン酸(HYA)が実際に乳児糞便に検出されること、また、ビフィズス菌がその合成に関わっていることを強く示唆する結果が得られた。 ・新しいシンビオジェニック因子の探索 種々の腸内細菌代謝物をスクリーニングした結果、ビフィズス菌抽出物中にマクロファージ様に分化させたTHP-1細胞からコレステロール排出活性を上昇させる効果があることを見出した。
以上の通り、物質を介した腸内細菌と宿主の共生基盤について、これまでに報告例のない成果をあげている。
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Strategy for Future Research Activity |
・新しいシンビオジェニック因子の探索 人乳培地で培養したビフィズス菌抽出物を分配やカラムクロマトグラフィーによって分離し、コレステロール排出活性を指標に当該活性因子を単離精製する。得られた化合物について機器分析を行ってその構造を決定する。得られた物質を購入し(購入不可能な場合は、他グループとの共同研究において合成する)、マウス等に投与して生理活性を確認する。また、当該物質の合成に関わるビフィズス菌の遺伝子を同定して破壊株を作製し、マウス等に投与することで、その機能を確認する。
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Causes of Carryover |
試薬を通常値引きより更に安く購入可能であったため、29円の差額が生じた。平成30年度に消耗品費として使用予定である。
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Research Products
(5 results)