2017 Fiscal Year Research-status Report
ヒト培養細胞を用いたDNAポリメラーゼ機能のゲノムワイド解析系の確立
Project/Area Number |
17K19336
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大学 保一 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (80619875)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | DNA複製 / DNAポリメラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
- ポリメラーゼ変異の導入 ヒト細胞におけるDNAポリメラーゼのゲノムワイド解析の第一段階として,正常に2倍体を形成するHCT116細胞株を使用し,ゲノム複製の大半を担うPolδ(デルタ),Polε(イプシロン)の触媒サブユニットをコードする遺伝子(POLD1,POLE1)へ,単一のアミノ酸を置換する変異を導入する実験を実施した.具体的には,CRISPR-Cas9システムによる標的遺伝子座での二重鎖切断の誘導と同時に,改変配列及びその周辺配列をもつ一本鎖DNAを細胞内に導入した.その結果, POLD1の単一遺伝子座へ変異が導入された株,POLE1遺伝子の両遺伝子座への変異が導入された株を単離できた. - rNTPを除去する酵素の不活化 上記の実験で得られたDNAポリメラーゼの変異体における,ゲノムDNAへ取り込まれたリボヌクレオチド量を検証した.ゲノムDNA中のリボヌクレオチドはRNaseH2に除去されるので,リボヌクレオチドの蓄積を誘導するために,RNaseH2のコンポーネントであるRNaseH2AのsiRNAによるノックダウンを行った.ノックダウンを行ったDNAポリメラーゼ変異体,および,その親株からDNAを抽出し,アルカリ処理後によりリボヌクレオチドの部位での断裂を誘導し,電気泳動後に断片化した単鎖DNAを可視化した.この方法によりゲノムDNAへのリボヌクレオチドの取り込み量を解析した.この実験により,RNaseH2AのノックダウンがゲノムDNAへのリボヌクレオチドの蓄積を引き起こすことが確認されたものの,DNAポリメラーゼの変異体特異的な取り込みの増加は観察されなかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に示した通り,CRISPR-Cas9システムによるDNAポリメラーゼをコードする遺伝子へ目的の変異の導入を行うことができ,また,ヒト細胞において,ゲノムDNAへのリボヌクレオチドの取り込み量を解析する実験が実施可能であることが確認できた.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,細胞内での変異DNAポリメラーゼによるゲノムDNAへのリボヌクレオチドの取り込み量を最大化する系を確立する必要がある.研究計画で示す通り,AIDデクロン法などのsiRNAによるノックダウンよりも,強力にRNaseH2の機能を低下させる方法を応用する予定である.
|
Causes of Carryover |
平成29年度は次世代シークエンサーを使用した解析が予定してた回数より少なかった.平成30年度に実施時期をずらして行う.
|
Research Products
(2 results)