2017 Fiscal Year Research-status Report
Exploring active transposable elements by chromosome addition lines
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17K19361
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
河邊 昭 京都産業大学, 総合生命科学部, 准教授 (10582405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須田 周平 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10273492)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | トランスポゾン / 染色体添加系統 / オオムギ / コムギ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、染色体添加系統を用いて転移活性能のあるトランスポゾン(転移因子)の効率的な単離を目指している。オオムギの染色体を1対持つコムギ系統(染色体添加系統)を用い、添加染色体存在下でトランスポゾンを活性化させ、その後添加染色体を交配によって除去することでホストのゲノムへ転移したトランスポゾンを同定し、単離することを試みる。本年度はオオムギ染色体添加コムギを野生型のコムギ系統に戻し交配をした1染色体添加系統の育成、およびその自殖による添加染色体を失った系統の作成をおこった。1染色体添加系統と添加染色体を失った系統に関してはそれぞれのオオムギ添加染色体を識別するPCR マーカーの利用と染色体観察によって添加染色体の有無の確認を続けている。この過程で染色体の構造変化を持つと思われる個体が頻発したため現在GISH法による染色体レベルの構造変化の確認を進めている。オオムギ染色体添加系統に関してはゼブラリン処理による遺伝子発現の変化を網羅的に解析し、いくつかのゲノム領域からの発現の上昇を確認した。ゼブラリン処理による低メチル化の効果が予想よりも大きい可能性があるために今後はより詳細な条件検討が必要になると考えている。染色体ごとのマーカーのPCRによるスクリーニングとGISHによる構造変化の確認を進め、ゼブラリン処理後代において染色体レベルの構造変化が観察されない個体を用いて2年目の計画である添加染色体由来のゲノム断片の探索を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メチル化レベルを低下しトランスポゾンの活性化を促すために用いたゼブラリン処理による影響が予想をはるかに上回るものであった。これがゼブラリン処理に由来するものなのか、染色体添加という状態によるものなのかを検証するために当初の予定の数倍の個体の調査をおこなっている。このスクリーニングの結果によって次に解析をおこなう個体の選定をおこなうために当初の予定よりも計画が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに2年目には添加染色体由来のトランスポゾンの探索をおこなう。染色体添加系統のゼブラリン処理によって染色体異常が頻発したためにこの原因の調査を並行して進めていく。染色体異常の原因がトランスポゾンの転移であった場合は当初の目的であった転移能を持つトランスポゾンの探索が条件設定を適切におこなうことでより効率よくできることが考えられる。ゼブラリンの効果と染色体添加の効果を区別することで効果的な染色体異常の導入を可能にすることが出来る。さらなる条件検討や他種における同様の染色体異常の調査などは新たな課題として考えることが出来る。
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Causes of Carryover |
実験に用いる植物材料の育成が1シーズンずれたため、当初今年度秋に行う予定であった実験を来年度の春~夏にかけて行うことになり、その解析にかかる試薬などの執行を遅らせる必要が生じた。 今年度予算から植物育成及び分子生物学実験消耗品代10万円、次世代シークエンシング試薬90万円、外部委託費10万円の執行を来年度におこなう必要がある。
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