2017 Fiscal Year Research-status Report
ライブセルイメージング計測の大規模化による器官形態形成機構の解明
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17K19380
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
桧垣 匠 熊本大学, 国際先端科学技術研究機構, 准教授 (90578486)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | ライブセルイメージング / 生物画像解析 / 細胞形態 / 細胞骨格 / 定量評価 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は植物の子葉表皮組織を構成するほぼすべての細胞に対して,成長過程における個々の細胞の位置,形態,細胞骨格構造の変化を計測する技術を開発することである.この目的を達成するため,観察実験と画像解析の両面から大規模イメージング計測に向けた研究開発に取り組んだ.具体的には(1)光毒性を軽減する試料栽培条件および撮影条件の検討,(2)細胞形態および細胞骨格系の構造特徴を定量的に評価する画像解析系の開発, を実施した.(1)については,スピニングディスク式共焦点スキャナと高感度カメラに基づく顕微鏡システムを用いて,高倍率の葉表皮組織の経時観察を実施し,撮影間隔と光毒性の関係を検討した.(2)については,組織画像から表皮細胞の領域分割(セグメンテーション)の自動化と細胞形態評価,また細胞骨格構造の定量評価を検討した.この過程において,細胞骨格の束化の定量評価法に関して大きな進捗が認められた.従来,細胞骨格の束化を定量評価法としては以前私たちの研究グループが開発した繊維状構造を構成する画素群の輝度分布の歪度を利用する方法(Higaki et al. 2010 Plant J)が標準的な手法として国内外を問わず広く活用されていた.ところが本研究を進める過程で,細胞骨格を構成する画素群の輝度分布の変動係数がより汎用的な束化の評価指標になりうる可能性を見出すことができた.また,本研究の生物実験および画像解析と密接に関連する複数の共同研究を国内外の研究グループと共に展開して本年度中に4報の原著論文を発表した(Takahashi et al. 2017 Front Plant Sci, Kuki et al. 2017 Plant Direct, Dou et al. 2018 Plant Physiol, Akita et al. 2018 Plant Sig Behav).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究代表者の東京大学から熊本大学への異動があり,研究機器の移動や点検・研究補助員の確保など研究環境の整備に多くの時間を費やす必要が生じた.しかし,「研究実績の概要欄」に述べた通り,年度末までには申請時に計画した実験を遂行することができた.また,画像解析においては細胞骨格の束化定量評価法に関する予想外の研究進捗も得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も(1)細胞観察実験と(2)顕微鏡画像解析の両面から研究を推進する.(1)に関しては状況に応じて光シート顕微鏡などの多様なモダリティを利用してシロイヌナズナ子葉表皮組織全体における細胞レベルの成長過程を画像化する方法の最適化を目指す.(2)に関しては,特に表皮細胞の領域分割(セグメンテーション)の自動化・高速化・高精度化に注力する.また,細胞形態・細胞骨格が持つ多様な特徴の中から,実際の顕微鏡画像データに基づいて生物学的な意義を持つ特徴を幅広く定量評価する手法を開発する.これにより,実際の研究現場での活用に資する細胞撮影定量評価システム開発への道筋を提示する.
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Research Products
(11 results)