2017 Fiscal Year Research-status Report
神経細胞種間を結ぶ脳内機能モジュールの解析手法の開発
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17K19443
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
上野 将紀 新潟大学, 脳研究所, 特任教授 (40435631)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 神経回路 / 解析技術 / 神経細胞種 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳には多様な神経細胞種が存在するが、それらは特定の神経細胞とつながることで神経回路を構成し、機能を正しく発揮する。しかし、こうした機能的な回路がどのような特異的な接続様式をもって機能を発揮しているのか、その動作原理にはわかっていないことが数多い。本研究では、神経回路内にある特定の神経細胞同士の接続で構成される各機能モジュールが、どのような接続パターンを持ち、またどのような機能素子に貢献するのかを明らかにするため、神経細胞種間の接続パターンやその機能を解析することを可能とする新たな神経回路解析技術を開発し、その適用を試みることを目的とする。本年度はまず、この解析技術に必要なDNAコンストラクト作りから始めた。これらのコンストラクトを、HEK293細胞および神経系細胞にトランスフェクションし、培養系において任意の遺伝子を発現させることに成功した。しかし、接続する細胞以外でも遺伝子発現の漏れが観察されたことから、プロモーター領域などを含めコンストラクトの改変が今後の課題となった。一方で、生体においてこれらのコンストラクトを発現させる準備を行うため、高タイターのAdeno-associated virusを作成する方法を確立した。また成体脳内で解析する神経回路として、大脳皮質と脊髄間を結ぶ皮質脊髄路を対象に、その接続様式を詳細に解析した。その結果、同回路のなかに、特定の神経細胞種同士で結ばれる多様な機能モジュールが存在することを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、神経回路の新規解析技術に必要なコンストラクト作りを行い、これらを培養系で発現させることに成功した。また、生体内での解析を行う準備として、皮質脊髄路の中にある機能モジュールを明らかにすることができた。したがって、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に作成したDNAコンストラクトのプロモーター領域などに様々な改変を加えて、培養細胞にトランスフェクションする。培養細胞を詳細に観察し、細胞間の接続や機能を解析できる適切なコンストラクトを開発する。
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Causes of Carryover |
作成したDNAコンストラクトを培養細胞で使用したところ、接続する細胞以外でも遺伝子発現の漏れが観察されたことから、プロモーター領域などを含めコンストラクトの改変が必要となった。そのため培養実験を一時中断する必要となり、次年度への使用額が生じた。次年度では培養実験を中心とした実験の試薬や消耗品、備品に使用する計画である。
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