2018 Fiscal Year Research-status Report
神経細胞種間を結ぶ脳内機能モジュールの解析手法の開発
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17K19443
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
上野 将紀 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40435631)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 神経回路 / 解析技術 / 神経細胞種 / 神経細胞 / 接続 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、神経回路のなかにある特定の神経細胞同士の接続で作られる機能モジュールが、どのような接続のパターンを持ち、またどのような機能の要素に関わるのかを明らかにするため、神経細胞種間の接続パターンやその機能を解析することを可能とする新たな神経回路の解析技術を開発し、その適用を試みることを目的としている。本年度はまず、神経回路の接続やその機能を明らかにできる解析技術を作るため、神経回路のシナプスの可視化、化学物質依存的な神経細胞の活動の増加、ペプチドや光依存的な神経細胞の除去、を可能とするDNAコンストラクトを作成した。これらを神経系培養細胞で発現させて、各々の効果を検討した。その結果、神経細胞のシナプスの標識、神経活動の増加、神経細胞の除去、がそれぞれ可能であることがわかった。これらのうち、シナプスの標識とペプチドによる細胞の除去を可能とするコンストラクトについて、高タイターのアデノ随伴ウイルス(Adeno-associated virus)を作成した。精製した各ウイルスを、マウスの脳内へ注入したところ、いずれのウイルスについても必要十分な発現量が神経細胞内にみとめられた。また生体内においても、これらのウイルスによって、シナプスの標識や神経細胞の除去が可能であることが確認された。これらは、神経回路の接続パターンや機能を解明するための有用なツールとなる。さらに多様な操作や適用が可能な解析技術の開発を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、神経回路の新規解析技術のため、神経の標識や操作を可能とするコンストラクト作りを行ったが、ウイルスによってこれらを培養系と生体内で発現させ、実際に標識や操作が可能であることが確かめられた。したがって、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に作成したDNAコンストラクトにさらに改変を加え、培養細胞や生体内で機能するコンストラクトやウイルスを開発する。これらを運動機能をになう神経回路の解析へ適用することを試みる。
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