2017 Fiscal Year Research-status Report
皮膚発癌におけるヘミデスモソーム構成因子の役割の解明
Project/Area Number |
17K19514
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松村 寛行 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (70581700)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | 表皮基底細胞 / 細胞競合 / 癌遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞競合と呼ばれる現象は、異常細胞を排除することで組織恒常性を維持し、上皮組織の発癌抑制に関わることが示唆されている。しかしながら、哺乳類の表皮を構成する表皮基底細胞において、どのような遺伝子が関わり、細胞競合が起こっているのか、殆ど分かっていない。申請者らは、これまでに毛包幹細胞の17型コラーゲンが、ゲノム損傷ストレスに応じて、加齢とともに分解を受けることで、毛包がミニチュア化し、永久脱毛につながる仕組みを明らかにしてきた(Matsumura et al., Science 2016)。この研究の結果、ゲノム損傷ストレスにより癌遺伝子変異を獲得した角化細胞が、細胞競合機構を介して排出されることで癌の発生を抑制している可能性があるという考えに至った。そこで、本研究では、表皮角化細胞において、細胞競合機構を介して、癌変異獲得角化細胞が、正常角化細胞を取り囲まれたのち、排除されるのか検証する。癌細胞変異を加えた細胞の運命を追跡できる成体マウスで表皮基底細胞の運命を解析できるマウス実験系を用いて、癌変異を獲得した後、細胞競合が起こるのか検証し、その仕組みを解明する。これにより、正常角化細胞での、細胞競合の基本原理解明や発癌抑制の機構解明に繋げることを目的とした。本年度では、表皮基底細胞において、細胞増殖促進するRAS変異などの癌遺伝子変異を獲得した細胞が、細胞競合を引き起こすのか、その検証とその実態の解明を目的として、遺伝子改変マウスを駆使して、表皮基底細胞におけるin vivoマウス細胞競合の解析システムの実験系の構築に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス成体の表皮基底膜細胞において細胞競合の実験系の構築 これまで、表皮基底細胞において、DNA変異の均一性クローン存在 (Martincorena et al., Science 2015)から、細胞競合の存在が示唆されてきているが、成体マウスの表皮基底細胞において、細胞競合が起こることは全く明らかにされていない。そこで、成体マウスの表皮基底細胞において細胞競合が起こりうるのか、in vivo細胞競合実験系の構築を行った。具体的には、Cre酵素がない時には、EGFPを発現せず、Cre酵素発現により組換えを引き起こすとCAGプロモーター下でGFPを発現するレポーターマウス (CAG-CAT-GFP)と表皮基底細胞特異的に薬剤タモキシフェン依存性にCre酵素を発現するマウス(K14creERT2)を用いて、微量のタモキシフェン投与により、個々の表皮基底細胞のマーキングを試みた。その結果、放射線やUVなどの各種ストレス刺激により、GFPを発現する表皮基底細胞クローンが排除される細胞競合現象の検出に成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウス成体の表皮基底膜細胞において癌変異獲得細胞が細胞競合に関わるのか検証する 上記、in vivo細胞競合モデル実験系にCre酵素依存性にRAS変異を発現するマウス(LSL-G12D-KRAS)を交配することによりRAS変異細胞と野生型細胞とで細胞競合が起こるのか、GFPを指標に検証を行う予定である。もし、RAS変異で細胞競合が見られない場合は、テトラサイクリン依存性YAP変異(tetO-YAPS127A)マウスやCre酵素依存性p53変異(p53flox)を用いる予定である。
|
Research Products
(9 results)