2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of fibroblast inprinting in lung injury
Project/Area Number |
17K19546
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松島 綱治 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 教授 (50222427)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上羽 悟史 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 准教授 (00447385)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | 病理学 / 免疫学 / 遺伝子 / 情報工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺線維症を始めとする臓器線維化は、線維芽細胞により主に産生される、細胞外基質の過剰沈着により重篤な臓器障害に至る病態である。臓器線維化は慢性炎症疾患に伴い幅広く認められ、個体の老化に伴い発症頻度が上昇することが知られている。慢性炎症や老化は、DNAメチル化変化などのcell-intrinsicな変化、細胞外基質の構築変化、組織内微小環境の変化などの、『場の記憶』をもたらし、細胞や臓器レベルの機能変化に繋がる。しかしながら、線維芽細胞における特異的介入手段の不足のため、炎症に伴い線維芽細胞に刻まれる『場の記憶』、およびそれに伴う機能変化の実態は未だ不明である。本研究では、提案者らの新たな線維芽細胞特異的介入手段に基づき、肺傷害に伴い肺線維芽細胞に生じる『場の記憶』の実態と肺炎症反応における意義を解明することを目的とした。 線維芽細胞の由来に依存せず、ブレオマイシン誘導肺線維症における炎症の場によって線維芽細胞に生じる変動を同定するため、脂肪組織または肺より調製した線維芽細胞を傷害肺へと移入し、網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、移入に伴い共通して発現低下する遺伝子としてDcn(Decorin)が見出された。実際に、Dcnを過剰発現させた肺線維芽細胞は炎症抑制能があることが肺への移入系により明らかとなった。さらに、Dcn-GFP-P2A-Creノックインマウスを作出し、Dcn陽性細胞の空間的分布・ブレオマイシン傷害に伴う変化を解析したところ、Dcnは気道・気管支周囲の線維芽細胞特異的に発現し、ブレオマイシン傷害に伴いその数が減少することが見出された。さらに、ブレオマイシン傷害肺のシングルセルトランスクリプトーム解析により、Dcn陽性・陰性線維芽細胞の両者ともに、炎症収束後のday21においても発現変動している遺伝子群が、炎症収束後も保持される線維芽細胞の変化として見出された。
|
Research Products
(5 results)