2018 Fiscal Year Annual Research Report
Neural mechanisms for consolation-related behavior
Project/Area Number |
17K19636
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
尾仲 達史 自治医科大学, 医学部, 教授 (90177254)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 毛繕い行動 / オキシトシン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
慰め行動は、相手の負の情動を理解しそれを緩和させようとする行動で、群れの形成維持に貢献していると考えられる。さらに、他人の世話が死亡率を低下させるというヒトの疫学データが報告されている。しかし、慰め行動の詳細な神経機構は分かっていない。本研究の目的は、マウスを用いた慰め行動の実験モデルを確立させその神経機構を解明することであった。動物は雌マウスを用いた。離乳後長期間同性のマウスを2匹同居させた。一匹のマウスに社会的敗北ストレスを加えた。すると、ストレスを加えなかったマウスは、ストレスを受けた仲間マウスに対して、ストレス緩和作用があると報告されている毛繕い行動を示した。この時、脳のオキシトシン受容体発現細胞が活性化されることをFosタンパク質発現検討実験で見出した。特に、帯状回、島皮質、内側扁桃体のオキシトシン受容体発現細胞が活性化されていた。帯状回、島皮質はヒトにおいて共感しているときに活性化されることが報告されている。さらに、オキシトシン受容体の関与を検討する目的で、オキシトシン受容体遺伝子欠損マウスの行動を検討した。オキシトシン受容体欠損マウスにおいては、社会的敗北ストレスを受けた仲間マウスに対する毛繕い行動が有意に減少していた。これらのデータは、マウスは社会的に傷ついた仲間マウスに対し親和的行動である毛繕い行動を示すこと、このときヒトと同様に帯状回と島皮質が活性化されること、慰め行動の時に活性化されるニューロンの少なくとも一部はオキシトシン受容体発現ニューロンであること、慰め様行動にオキシトシン受容体が必須であることを示している。
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