2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of non-invasive imaging of tissue fibrosis
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17K19650
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
間賀田 泰寛 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (20209399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪原 晴海 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10187031) [Withdrawn]
鈴木 千恵 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 助教 (20637285)
清水 広介 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 准教授 (30423841)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 線維化 / 光イメージング / ICG / 核医学 / NASH |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、肝線維化モデルである非アルコール性脂肪肝炎(NASH)マウスの作製と標的分子であるTissue factor(TF)の発現の関連性を明らかとするとともに、抗体を用いた肝線維化イメージングに向け、使用する抗体のサイズの最適化を行なった。コリン欠乏、メチオニン減量高脂肪飼料(CDAHFD)をマウスに摂食させ、NASHを誘導した肝臓における脂肪の蓄積ならびに組織線維化を、H&E染色、Oil Red O染色、さらにはAzan染色により確認したところ、CDAHFD摂食早期から脂肪の蓄積ならびに組織変化が観察され、摂食6週間後においては、線維化領域が肝臓全体に広がっていた。またTFの発現を、抗TF抗体を用いた免疫染色により確認したところ、CDAHFD 摂食前ではTFは組織全体に低く発現していたのに対し、NASHを誘導したマウスにおける肝臓においては、局所においてTFの発現が高まり発現の分布に違いが出ることが示された。一方で抗体を用いた肝線維化のイメージングにあたり、バックグラウンドを低減させるためには肝臓への抗体の非特異的な集積を回避する必要があるため、抗体の断片化と肝臓への集積の関連性を調べる必要がある。そこで、抗体の全抗体、還元抗体、F(ab’)2断片、Fab’断片、Fab断片をそれぞれインドシアニングリーン(ICG)で蛍光標識し、マウスに投与後の各抗体の肝臓への集積を全身蛍光イメージングシステム、マエストロを用いてイメージングを行なった。その結果、抗体をパパイン処理して得られるFab化抗体において、肝臓からのクリアランスが高く、抗体の長期的な集積を回避し非特異的なバックグラウンドを低くできることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝線維化モデルとして、CDAHFDをマウスに摂食させ、NASHマウスを作製した。CDAHFDの摂食期間と肝線維化の関係性を調べるために、0~6週間 CDAHFDを摂食させたマウスから肝臓を摘出し、HE染色、Azan染色およびOil Red O染色をすることによって病理学的評価を行なったところ、摂食1週間から既に脂肪の蓄積、さらには組織線維化が観察され、摂食6週間では肝全体に線維化が進行しており、NASHが誘導できていることを確認した。また肝組織におけるTFの発現を調べたところ、NASHの誘導に従いTFの発現の分布に違いが出てくることが示された。一方で肝疾患のイメージング診断にあたり、用いる抗体の最適なサイズを決定する必要があるため、抗体の断片化を行い、断片化と肝臓への集積との関係性について調べた。実際には、コントロール抗体の全抗体、システアミン処理を行なった還元化抗体、ペプシン処理により得られるF(ab’)2断片、さらに還元することで得られるFab’断片、またパパイン処理により得られるFab断片を作製し、それぞれを近赤外蛍光色素インドシアニングリーン(ICG)で蛍光標識したものを正常マウスに尾静脈内投与した後、全身蛍光イメージングシステムMaestroにより肝臓への集積を画像化した。その結果、投与初期には全ての抗体において肝臓への集積が確認されたが、Fab化抗体においては投与24時間後から肝臓から消失が確認され始め、投与72時間後には、他の抗体投与群と比較して明らかに肝臓における蛍光が低減した。これらの結果から、抗体を用いてNASHのイメージング診断を行うには、分子量がより小さいFab化抗体の使用が適していることを明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である令和元年度では、NASHマウスに対して抗TF抗体を投与し、肝線維化部位のイメージングを達成することを予定している。実際には、蛍光標識したFab化抗TF抗体をNASHマウスに尾静脈内投与し、肝臓への集積をコントロール抗体と比較するとともに、肝組織の免疫染色を行なった上で抗体の組織内分布を調べ、抗体の線維化部位への集積を明らかとする。さらにより高感度な非侵襲的なイメージング診断に向け、125Iで放射標識した抗TF抗体を用い、NASHマウスにおける肝線維化をSPECTイメージングにより画像化する。また他の臓器の線維化疾患への適用を目的として、ブレオマイシン誘導肺線維症における抗TF抗体を用いたイメージング診断も同様に行い、抗TF抗体を用いた組織線維化検出の有用性を証明する。
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Causes of Carryover |
抗体の肝臓への集積が想像以上に多く、またクリアランスされにくいことが判明し、イメージングに向けてサイズの最適化が必要となり、ある程度の時間を要した。このため、NASHマウスへの応用まで平成30年度の研究期間内に到達できず、物品購入が予定よりも少なくなった。しかしNASHモデルおよび抗TF抗体の準備は既にできており、目的とするNASHマウスにおける肝線維化イメージングの検討はすぐに実施できる状態にあるため、最終年度に目的を達成するためのデータは得られると考えている。 研究体制・設備は既に整っているため、次年度に使用額を費やし研究計画を元に実験を進めていく予定である。最終年度は、特にマウスを用いたインビボでの検討がメインとなり、抗TF抗体を用いたNASHマウスにおける肝組織線維化の非侵襲的イメージング診断の可能性を探るとともに、他の線維化疾患へと応用することでその汎用性を明らかとする。
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