2017 Fiscal Year Research-status Report
急性被ばく腸管死を推定できる血液・糞便中microRNAバイオマーカーの探索
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17K19779
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
千葉 満 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (20583735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門前 暁 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (20514136)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 放射線被ばく / 腸管障害 / microRNA / 血清 / 糞便 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は高線量被ばくによる腸管障害などの生体影響と、血清・糞便中で変化するmiRNAの探索を行った。本研究は弘前大学動物実験委員会の承認を得て行われた。得られた成果を以下に示す。 ① 8週齢のC57BL/6NJcl雄マウスX線照射(管電圧150 kVp、管電流20 mA、線量率1.0 Gy/min、遮蔽板:Al 0.5 mm + Cu 0.3 mm)を行った。X線7Gy、10Gy照射後の生存解析を行ったところ、50%生存期間は10Gy照射群で9日、7Gy照射で13日で、これらの線量はマウスにとって亜致死/致死線量であった。腸管組織の損傷の程度を調べるために、10Gy曝露マウスの腸管の病理組織学的観察およびTUNEL染色を行った。その結果、10Gy曝露によって腸管上皮の組織損傷が確認された。 ② 腸管損傷を予測できる低侵襲性バイオマーカーとして細胞外miRNAに着目した。血清や糞便中にRNAが存在するか、またそのクオリティーを確認するため、抽出したRNAのバイオアナライザ解析を行った。その結果、血清と糞便には18Sと28SのリボソームRNAのピークは検出されず、25~200ヌクレオチドのsmall RNAのピークが検出された。また、動物試料中ではRNAはほとんど検出されなかった。 ③ 上記で得られた血清や糞便には腸管損傷によって漏出した細胞外miRNAが含まれることが想定される。そこで、血清や糞便のmiRNAマイクロアレイ解析を実施した。その結果、非照射群と比較して照射群において2倍以上発現が上昇したmiRNAが血清では21種類、糞便では119種類検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
○高線量被ばくマウスにおける腸管損傷評価(達成度100%) 高線量の放射線を曝露したマウスの生存解析や病理組織学的解析により、腸管損傷を誘導するモデルマウスが確認できた。このモデルマウスの血清や糞便を採取し、亜致死/致死線量曝露を予測できるバイオマーカー探索に用いた。 ○血清・糞便中で増加するmiRNAの網羅的スクリーニング(達成度100%) 血清や糞便中にはsmall RNAが多いことが明らかとなった。それらのRNAには腸管上皮細胞由来のmiRNAが多く含まれることが予想される。腸管損傷によって細胞外へ逸脱したmiRNAを網羅的スクリーニングするためにmiRNAマイクロアレイ解析を実施し、発現変化するmiRNAを多数同定した。 本解析によって得られた成果は現在原著論文として報告する準備をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は平成29年度の課題を引き続き遂行するとともに、以下の課題を検討する。 ① リアルタイムPCRによる血清・糞便中miRNA発現を確認する。
② これらのmiRNAのうち、腸管上皮細胞由来(可能であれば腸管上皮幹細胞由来)であるものを明らかにする。 ③ 迅速に検出するためのリアルタイムPCRの条件検討を行う。 ④ 便潜血など腸管被ばくを推察する従来の検出法との比較を行う。
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Causes of Carryover |
今年度得られた研究成果をまとめ、次年度に学会発表と論文投稿を積極的に行う必要があるため、次年度へ使用額を繰り越す必要性が生じた。
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Research Products
(43 results)