2018 Fiscal Year Research-status Report
患者・市民の主体的参加による新しい医学研究ガバナンスの構築に向けた研究
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17K19812
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 和人 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10202011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 剛 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10526677) [Withdrawn]
三成 寿作 京都大学, iPS細胞研究所, 特定准教授 (60635332)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 医学研究 / 研究ガバナンス / 患者とのコミュニケーション / 患者との協働 / ダイナミック・コンセント / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
少子高齢化の進展や疾病構造の変化が進む日本では、疾病の予防・診断・治療法の開発・改善を目指す医学研究はますます重要になっている。研究にはより多種・多量の試料や情報の解析が必要になる中、欧米ではICT(情報通信技術)を用いた患者・市民主体のデータ入力を用いた活動が複数始まっている。一方、日本では同様の活動はほとんど進んでいない。本研究の目的は、こうした患者主体のデータ入力を利用した医学研究システムの事例について国内外の状況把握を行うこと、およびそうしたシステムのモデルを日本において試行し、日本における医学研究への患者参画について何が実現可能で、何が課題となるかなどについて明らかにすることである。 平成30年度においては、以下の3つの項目に取り組んだ。1)患者自身が健康情報や心身の状態に関する情報をインターネットやなどを介して入力する活動(Participant-centric Initiative, PCIという)について、前年度から進めてきたScoping Reviewによる分析を進め、論文投稿の準備を始めた。2)患者によるデータ入力システムの実証モデルとして、神経筋難病を対象にしたシステム(RUDY JAPAN)を運用を継続的に行った。そのうえで、今年度は神経筋難病に加えて、希少難病の一つである遺伝性血管性浮腫を対象に質問票を作成し、2018年10月に登録を開始した。また、患者と研究者がともにRUDY JAPANの運営について検討する「運営ミーティング」を計5回開催し、開催回数は総計9回となった。3)RUDY JAPANの構想段階から全体のデザインや患者登録の開始とその語に至るまでの経緯について振り返り報告する学術論文の準備を始めた。平成31年度前半には投稿の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた内容をほぼ予定通り年度内に進めることができた。国内外の関連活動の把握とRUDY JAPANの経緯と活動を報告する論文については、年度内に第一段階の原稿を準備するところまで進めることができた。また、実践面として、遺伝性血管性浮腫についての登録を開始し、患者と研究者の参加による運営ミーティングについても着実に開催することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実践面では、RUDY JAPANへの患者登録をさらに進めるために役立つ方策の検討が必要である。理論面では、国内外の状況把握の結果や、英国での実践的システムRUDYと日本での活動の比較を行い、日本に合った患者参加を進めるための留意点のまとめを作成することが必要となる。
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Causes of Carryover |
国内外の状況把握に関する論文投稿をオープンアクセスの国際誌年度内に予定することを考え、投稿料に充てることを予定していた分が、論文投稿を平成31年度とすることにしたため、次年度使用額が生じた。
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Remarks |
難病患者が自らの健康状態を入力し、医学研究を進めるためのシステム「RUDY Japan」のウェブサイト
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Research Products
(7 results)