2023 Fiscal Year Annual Research Report
Functions and Limitations of Dispute Resolution by Courts in Territorial and Maritime Issues
Project/Area Number |
17KK0054
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
許 淑娟 立教大学, 法学部, 教授 (90533703)
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Project Period (FY) |
2018 – 2023
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Keywords | 国際紛争解決 / 海洋法 / 領域法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、個別事件における国際法解釈、当事国の裁判内外の主張、さらに、裁判後の当事国の態度、すなわち裁判判決の紛争解決プロセスにおけるインパクトまでを射程に収めるものである。在外研究を行い実際に共同研究を行った期間やフォローアップとして渡航した期間に、共同研究者含め、多様なレベルにおける助言や意見交換を行うことができた。 最終年度は、渡航制限も緩和されたことから、在外研究先であった英国での短期渡航を行った。在外期間から間が空いてしまったことから、個人レベルでの助言や意見交換を行うにとどまったが、領土海洋法分野における最近の研究や実務の趨勢をアップデートしつつ、文献の渉猟、貴重な訴訟資料に触れることができた。論考としては、第一に、昨年度から準備していた海底電線およびパイプラインの敷設の自由の意義を公表することができた。海底ケーブルについては、国家対国家による紛争処理手続の俎上に上ることが想定しづらいことから、裁判外における紛争解決プロセスの重要性を照射するものとなった。第二に、昨今の国際情勢も踏まえながら、エリトリア・イエメン事件、カメルーン・ナイジェリア事件における紛争の発端、国連や第三国の働きかけ、判決論理、判決後の動きも含めて、論考にまとめることができた。第三に、20年に及ぶニカラグアとコロンビア間の大陸棚境界画定紛争に基づいて議論を行い、評釈をまとめた。 研究期間は終了したものの、研究期間中に検討した裁判例について国際法の解釈などとの総合的な検討を行い、基課題との連携も見据えて、領土海洋問題への取り組みのプロセスが、各国間の交渉・裁判・条約交渉というさまざな段階において重層的かつ複合的に扱われていることを改めて示す論考をまとめ、研究の取りまとめとしたい。
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