2021 Fiscal Year Research-status Report
pDNAの高次構造制御を基盤とする構造化遺伝子キャリアの機能展開と学理創出
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17KK0102
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
長田 健介 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 分子イメージング診断治療研究部, 主任研究員 (10396947)
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Project Period (FY) |
2018 – 2022
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Keywords | 薬物送達システム / 非ウイルス性遺伝子デリバリーシステム / 高分子ミセル / ポリイオンコンプレックス / DNA凝縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、DNAと正電荷性高分子からなる複合体の高次構造制御とそれを遺伝子ベクターとして医療応用しようとする基研究を、ナノメディシンの臨床応用研究を進めるグループとの協議を通じてステップアップを図る(課題(1))とともに、生物物理学のグループと共同することで高次構造形成の基礎学術を深化させること(課題(2))、さらに新たな核酸治療システムを構築すること(課題(3))を目的としている。 2021年度は、引き続き蔓延する感染症のため海外の共同研究先に滞在しての研究を延期せざるを得なかった。一方で、本国際共同研究加速基金の活動を通じて構築した研究者ネットワークにより、核酸-ペプチド複合体の形成プロセスをシミュレーションで検討する国際共同研究をインド国立計算科学研究所のグループと前年度より開始しており、本年度には、核酸といくつかの正電荷性高分子との会合挙動の計算を行った。この結果、高分子の化学構造によって相互作用モードが異なっていることが明らかとなり、より安定なDNA/正電荷性高分子複合体を得るための具体的な分子設計指針を見出した。また、ミシガン大学医学部(米国)と進めている循環器系疾患を標的とした遺伝子治療研究は、遺伝子ベクター形態、投与法、治療遺伝子など最適条件を決定する動物実験を進めている。さらに、がんに対して免疫系と協働する遺伝子免疫治療戦略を新たに発起し、予備検討で強力な制がん効果が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、引き続く感染症蔓延のため海外共同研究先に滞在しての研究を進めることは叶わなかったが、メールやオンラインでのディスカッションを取り入れながら課題を進捗させた。具体的には、2020年度に開始した計算科学からDNA-正電荷性高分子複合体の会合挙動にアプローチする国際共同研究を進め、実験的に検証困難な原子レベルにおける会合挙動についての知見を得た。これにより、課題1の研究で用いている高分子材料に関する証左を得るとともに、課題3に用いる高分子材料の分子設計にかかる指針を得ることができた。課題1の基課題で開発した遺伝子ベクターの実用化を目指す研究は、米国ミシガン大学医学部において循環器系疾患を標的とした前臨床試験に進んでいる。また、遺伝子ベクターを使って免疫系を活性化する遺伝子免疫治療を新たに発案し、予備検討で強力な制がん効果を確認している。加えて、合成法の検討ならびに研究室環境の整備を進め、海外共同研究先で用意する高分子材料を自給する体制を整えた。このように本年度は海外渡航できなかったものの、本国際共同研究の目標達成に向け確実に前進していることから、おおむね順調に進んでいると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
計算科学を用いた核酸-正電荷性高分子間の相互作用解析によって、核酸により強く結合する正電荷性高分子の分子構造に関する示唆が得られたことから、結合安定性に関する実験結果と合わせて成果のとりまとめを行う。並行して、この情報を課題1で進める遺伝子ベクター研究に反映させるとともに、課題3で開発する新たな核酸治療システムに展開し、研究成果の重層化を図る。また、遺伝子ベクターの実用化に向けた取り組みに関しては、循環器疾患に対する治療戦略の確立を目指し、前臨床応用に向けた展開を試みる。予備検討で優れた制がん効果を見出した免疫と協働する遺伝子免疫治療は、適切な対照群を設置しつつ再現性の検証を行い、概念実証を試みる。一方で、海外共同研究先で用意する高分子材料を自給する体制を整えたことから診断治療システムとして開発、その性能評価を進める。これらの計画により、基課題の臨床応用に向けたトランスレーション研究を加速化するとともに、新規核酸治療システムおよび診断システムの開発を進め、本研究課題の目標達成を目指す。状況が許されれば国際共同研究先に出向き、成果のとりまとめを行うとともにさらなる展開について議論する。進める。
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