2017 Fiscal Year Research-status Report
"Emotional Communities" in the Age of Globalization
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17KT0031
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
伊東 剛史 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (10611080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 明子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (20636211)
小田原 琳 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70466910)
Porter John 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 講師 (30572614)
鈴木 健太 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (00749062)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2021-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 国際研究者交流 / 感情史 / 共感 / 境界域 / グローバル・ヒストリー / グローバル・スタディーズ / 近現代史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、両世界大戦を挟む1世紀に焦点をあて、感情史の観点からグローバル史を再構成することである。具体的には、複数の制度、文化、信仰が混交する《境界域》の歴史的経験に着目し、他者への共感が異なる社会集団の感情的交錯からどのように生まれたのか、そして共感は言語的・身体的表現を通じて、どのように共同体の精神的紐帯を形成したのかを考察する。初年度にあたる2017年度は、次の研究会議を開催し、研究参加者間の問題意識を共有しつつ、本研究の方法論である感情史に関する基礎的理解を築いた:①キックオフ企画・ワークショップ「痛みと共感への学際的アプローチ」(10月7日)、②第1回研究会(11月5日)、③国際ワークショップ「近世経済史から考える「共感の共同体」―商人ネットワークの比較史を題材として」(1月27日)、④第2回研究会(3月14日)。今年度の目的は、各メンバーのケース・スタディの構想を確定し、来年度の史資料調査・分析へと繋げることだった。これについて、2017年3月までにケース・スタディの企画が整えられた:①伊東「「共感の科学」の神経生理学的基盤と社会科学への展開」、②倉田「信仰は「共有」できるのか?―漢会論争からみる中国人キリスト教徒の「実像」」、③Godart, "Nichirenism and the Political Mobilization of Emotions" ④森田「"Ich bin ein Berliner"─都市への思い入れ、都市民としての共感」、⑤小田原「感情の動員―第一次世界大戦期イタリアにおける性暴力をめぐる言説」、⑥ポーター「維新期東京における非人の生存様式」、⑦鈴木「社会主義ユーゴスラヴィアにみる「共感」と共同体」、⑧舘「第一次世界大戦後の東欧・ロシア地域における赤十字国際委員会調査団―人道アクターの「感情」分析の試み」。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実質的に半年間の研究期間のなかで、当初予定していた2回の定例研究会に加え、ワークショップを2回開催できたことは有益だった。それらの研究集会を通じて、本研究課題に関する共通理解を築いたうえで、各メンバーのケース・スタディを立案し、それらを「共感」というキーワードのもとで包括的に議論する素地をつくることができた。詳細な史資料分析へと移行する次年度に向けて十分な準備ができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
各メンバーが、それぞれのフィールドにおいて史資料調査・分析を実行する。そこから得られた知見を整理し、本研究課題の当初の方法論的仮説である、共感の二重の二面性(包摂と排除、拡散と凝集)について検証しながら、ケース・スタディの成果をまとめていく。
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Causes of Carryover |
当初初年度に予定されていたフィールドワーク(文書館等における史資料調査)について、共同研究の枠組みを構築することを優先したことから、次年度に行うことにしたため。また、それにともない、フィールドワークに必要な物品を次年度に購入することにしたため。さらに、国際ワークショップの招聘した海外研究者の旅費が、当初の見込みよりも安価にすんだため。
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Research Products
(44 results)