2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a solution for environmental pollution caused by economic globalization
Project/Area Number |
17KT0033
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 昌志 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10281073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大神 信孝 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80424919)
矢嶋 伊知朗 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (80469022) [Withdrawn]
田崎 啓 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (80333326)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2024-03-31
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Keywords | 皮革産業 / クロム汚染 / 水質汚染 / 健康影響 / グローバル・イシュー / 皮革工場労働者 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が日常的に使用している皮革製品は、「クロムなめし」と「その他のもの」に分類される。生産コストが低く、輸入税率も格段に安いので、世界の皮革製品の80%以上がクロムなめしで作製されている。経済グローバル化に伴い、先進国が環境汚染を誘発するクロムなめしの作業工程を開発途上国に押しつける構図が、新たなグローバル・イシューを産み出している。実際に、米国のブラックスミス研究所は、2013年の報告において「世界で環境汚染が最も深刻な10の産業由来汚染地域」の1つとして、バングラデシュの皮革工場集積地域(ハザリバーグ)を選出した。本研究は、途上国と先進国への両方向性アプローチにより、開発途上国で発生している「皮革産業に起因する環境汚染」と「皮革工場労働者の健康障害」を解明することを目的として、研究を推進した。 本年度における「皮革産業に起因する環境汚染」の解明を目的とする研究において、皮革工場廃液の流れ込む排水路の遮断の環境的意義を検討した。排水路の遮断下流域の3価クロム濃度は、劇的に減少した。一方、排水路の遮断上流域の6価クロム濃度が、有意に増加した(Kurniasari et al. Chemosphere 2024)。本成果は、高濃度の3価クロムを含む水路の遮断に伴うリスクを初めて示している。 本年度における「皮革工場労働者の健康障害」の解明を目的とする研究において、皮革工場労働者と事務労働者(対照)を対象とした疫学研究を実施した。予想に反して、皮革工場労働者の爪に含まれるクロム濃度と血圧および尿糖との間に負の相関関係が認められた(Tsuchiyama et al. Chemosphere 2023)。3価クロムは、高血糖の患者の血糖値を低減するという報告を考慮すると、3価クロムの継続曝露により、尿糖や高血圧が予防できる可能性があると推察できる。
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Research Products
(18 results)