2018 Fiscal Year Research-status Report
人工物デジタルツイン構築のためのマルチスケールモデル・モニタリングのシンセシス
Project/Area Number |
17KT0039
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沖田 泰良 東京大学, 人工物工学研究センター, 准教授 (50401146)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 英晶 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (10361502)
川畑 友弥 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50746815)
西野 成昭 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90401299)
愛知 正温 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (40645917)
|
Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
|
Keywords | 構造健全性 / 非破壊検査 / 疲労損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 光ファイバセンサによる構造材料内ひずみ分布測定:昨年度開発した光ファイバセンサを用いて、繰り返し荷重を受ける試験片の面内ひずみ分布を測定した。また、人工物デジタルツイン実装のため、各スケールでの検査・モデル間のデータ同化、スケール間のシームレスなデータの受け渡しに関して、効率的・共通的な体系を構造化した。 (2) 超音波等による転位測定:ひずみ量を1~3%付与した鉄鋼材料に対して、超音波信号変化を測定した。複数の周波数における減衰率変化ならびに音速変化から転位密度を検出しうる可能性を明らかにした。 (3) 分子シミュレーションを用いた転位形成に伴う機械的特性変化の定量化:分子動力学法を用いて、結晶欠陥と転位の相互作用を定量化した。これに基づいて、転位論をベースとした従来モデルの適用性を明らかにした。また、昨年度行ったモンテカルロ法ベースのモデルを高度化し、on-the-fly モンテカルロ法により原子レベルの挙動から転位組織発達を予測するモデルを構築した。 (4) 構造部材ひずみ集中部の損傷蓄積状況を高精度予測可能な塑性力学モデル開発:ランダム荷重付与条件下での材料損傷量を定量化するための実験研究を実施した。古典的な劣化モデルは過度に安全側の損傷評価を与えることを把握するとともに、昨年度開発した複合効果則を前提とした相当背応力更新による有効損傷量概念が効率よく損傷を記述できることをあらためて示した。また、簡易的であり、マクロ問題に適した結晶塑性法を有限要素法に実装することに成功し、粒界に多く蓄積する転位量を推定するツールを完成させた。計算GN転位量は予ひずみ付与後の試験片のKAM値(EBSD解析)と良好な相関を示すなど、今後の複雑なひずみ付与パターンへの展開が期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の成果は概ね当初の計画通り研究を実施することができた。特に、分子動力学やon-the-fly モンテカルロ法に関しては、学術的に価値の高い成果を得ることができた。超音波を用いた検査では、反射波が分裂する未知の現象も確認されたが、その要因とともに転位密度測定への適用も詳細に検討していく必要があることが明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
分子動力学法で得られた極微小スケール、極短時間の現象をもとに、実際の構造材料挙動予測を行うためには、空間・時間双方で、より大きなスケールのシミュレーションにつなげていくことが求められる。このため、複数のシミュレーションを組み合わせる手法を検討していく。また、検査技術に関して、超音波試験の測定条件の適正化とともに、検査技術の相補性に関して、詳細な検討を行っていく。
|
Causes of Carryover |
クラスター計算機の購入を止めて、大学の計算機を利用した。その差額は、データ解析のための技術補佐員雇用費、旅費等に充当する予定である。
|
Research Products
(19 results)