2018 Fiscal Year Research-status Report
Development and utilization of integrated paper devices for creating demand for wood to restore Japanese forestry
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17KT0069
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
江前 敏晴 筑波大学, 生命環境系, 教授 (40203640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 悠希 筑波大学, システム情報系, 助教 (10601883)
古賀 大尚 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (30634539)
川原 圭博 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (80401248)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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Keywords | セルロース / 油水分離 / フィルタ / 紙 / メディア / タッチセンサ / 音声ガイダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
食品廃棄物や海難事故により生じる油と水の混合液を効率よく分離するセルロース系膜材料を開発した。通常の膜は油を通して水を通さないが、洗浄が難しい。そこで油をはじいて水を通す膜を開発した。セロハン製造工程中の中間生成物であるビスコースに、鋳型となる微粒子を加え乾燥後、微粒子の塩を溶解し、スポンジとする。セルローススポンジの内孔表面に竹のパルプから調製したセルロースナノファイバ(CNF)(親水性と親油性をもつ両親媒性、BCNF)を吸着させた。木材パルプ由来のWCNF及びポリビニルアルコール(PVA)と比較したところ、それらよりも分離性能が高かった。 さらに、指でなぞるとその通り発音してくれる“喋る紙メディア”を開発した。案内板の点字をなぞると音声でも案内が聞けるポスターや学習教材に応用できるものである。指の接触で静電容量の変化を感知するタッチセンサーと録音・再生ICを組み込んだ回路を作製した。メディアとなる表紙にはメッセージが書かれ、指でなぞるとその通り読み上げる。点字を重ねれば視覚障がい者は触読しながらメッセージを聞ける。タッチセンサーに代えてアルミホイルを電極とし表紙を隔てた指との間の静電容量の変化を感知する仕組みで、指が触れている場所のボイスメッセージを流す。 また、紙基板そのものの加工技術も開発した。ウェアラブルデバイスをターゲットにするため、皮膚に接する面は柔らかく、センサー機能を搭載する面は固い構造をもつ紙の製造法を開発した。紙の乾燥工程でエタノールを滴下することで繊維間の強い水素都合の形成を阻害することで両面性を持つ紙基板とすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生分解性の高い紙基板によるプラスチックの置き換えとそれによる環境に与えるインパクトの低減を目標としてきたが、食品廃棄物や海難事故による油水混合が環境に与えるインパクト大きいが、紙由来のセルロース材料を活用したフィルタが創製したことで貢献ができたと考えている。また、新しいメディアとして視覚障がい者向けの音声ガイダンスポスターを開発することができた。これも加工性が高く安価に制作できる紙メディアの一種であり、プラスチック材料の置き換えに繋がる。これらのことから当初の目的に対する達成度は非常に高いと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、実際の紙基板エレクトロニクス作製に当たって壁となっている堅牢性向上ために、紙にセルロースナノ材料であるセルロースナノクリスタルをプレコートする技術完成を目指すことにしている。独自の堅牢性試験装置を作製したところであり、その評価を行っていく。また最終年度に予定していた農業への活用は、残留農薬検査を酵素反応の阻害を利用して行う紙センサーで、この技術は新しくはないが、基板にカーボンナノチューブを利用したヒーターを取り付け、反応の迅速化を試みている。手作業による酵素反応試験では検出できることがわかっている。これらを実用レベルに持って行くことが目標である。
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Causes of Carryover |
最終年度にパーケージング関連の応用を計画しているが、これに実地調査を含めることを考えているため、ある程度大きい費用を用意しておく必要があると考えた。
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Research Products
(19 results)