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2018 Fiscal Year Research-status Report

Enhancement of artificial systems based on nonlinearity

Research Project

Project/Area Number 17KT0123
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

中田 聡  広島大学, 理学研究科, 教授 (50217741)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 雨宮 隆  横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (60344149)
Project Period (FY) 2017-07-18 – 2020-03-31
Keywords平衡系 / 同期 / 人工物の強化 / 非線形現象 / 分岐 / 振動 / リミットサイクル / パターン形成
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度の研究実績を踏まえて、今年度研究実績を以下にまとめる。
(1) 非線形性を指標とした人工物システムの自己診断:様々な環境下で自己判断できる半導体ガスセンサについて実験を行った。具体的には、異なる流速下で、周期的な温度摂動に対するセンサ電導度を測定したところ、ガス種に依存して特長的なセンサ応答と流速応答を示した。得られたセンサ応答を時間軸でフーリエ解析し、ガス種の特異的応答を評価した。これによりセンサ応答とセンサを取り巻く環境の両方を識別することに成功した。
(2) 人工物システムをやさしく使用するためのリミットサイクルの活用:周期的な充放電をバッテリーに与え、その時に発生する温度をモニターした。その結果、温度上昇を抑制する適切な充放電の周期または変調が存在することを見い出した。また周期的充放電に対する温度上昇の数値計算を行ったところ、実験結果と同様の結果を定性的に再現することに成功した。
(3) 同期による人工物システムの自励チューニング:一端のみ固定した、粘弾性と長さを持つ非線形振り子をカップリングさせた。その結果、振り子間の距離に依存して、同相、同相と逆相の共存、非同期の3つのパターンが生じることを見い出した。また共存領域では初期位相差が同じであれば同相、反位相であれば逆相が生じた。この実験結果を反応拡散方程式で訂正的に再現することに成功した。
(4) 時空間パターンを利用した人工物システムの強化: 化学振動樹脂系で、周期的電圧と同期したパターン応答についても動的双安定の存在を見い出した。またこれまで時間情報でのみ同期現象を評価していなかったが、パターン形成を指標とした同期現象の評価の実験結果を見い出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画と現在の実験成果を比較して次のように進捗状況をまとめる。
(1) 非線形性を指標とした人工物システムの自己診断:これまで半導体ガスセンサの非線形応答の特徴である、センサ温度vs.センサ電導度のヒステリシスループが、流速条件により、リミットサイクルが崩壊するかループの特徴が失われると予想したが、実際には、ガス種により特徴的な流速応答を示した。これはセンサ応答がガス種の識別だけでなくセンサを取り巻く環境も同時に識別することを意味するので順調に進捗している。
(2) 人工物システムをやさしく使用するためのリミットサイクルの活用:周期的な充放電をバッテリーに与え、その時に発生する温度をモニターしたところ、温度上昇を軽減する適切な電圧周期と変調が存在することを見い出すとともに、数値計算による定性的再現に成功したことから順調に進んでいると考えられる。
(3) 同期による人工物システムの自励チューニング:同期現象を活用して、自励チューニングが行える実験系として、粘弾性高分子系を提案し、数理モデルでも現象をできたところは進捗しているといえる。化学振動ゲル系を行う前に、樹脂系で周期的電圧摂動に対して同期現象が発現することを見い出したところも貴重な進展と考えられる。
(4) 時空間パターンを利用した人工物システムの強化: マイクロレベルの化学振動樹脂ビーズ系で、周期的電圧と同期してパターンも変化するとともに、従来とは異なる「動的双安定」の存在を見い出したことは学術的にも価値がある。またこれまで時間情報でのみ同期現象を評価していなかったが、パターン形成を指標とした同期現象の評価実験系を見い出したことは今後の研究の発展につながる。

Strategy for Future Research Activity

今度の研究の推進方策を以下にまとめる。
(1) 非線形性を指標とした人工物システムの自己診断:流速以外の妨害パラメータ(例えば湿度や老朽化)について実験を行う。そしてこれらの妨害パラメータをセンサの交換時期の自己診断の指標とする。
(2) 人工物システムをやさしく使用するためのリミットサイクルの活用: (1)や周期的充放電システムでは温度または電圧を外部から強制的に加えていたが、逆にリミットサイクルを活用して、適切な温度摂動または電圧摂動を自動的にフィードバック制御できるシステムを作成する。
(3) 同期による人工物システムの自励チューニング:粘弾性高分子系では同期の自励チューニングが可能であるが、柔らかさを失うため、短時間の測定しかできない問題がある。人工物強化のための実践的なシステムには至っていないので、より安定で寿命が長い材料の選定と条件の最適化を行っているところである。化学振動樹脂ビーズ系においては外部電圧に強く依存するため、自励チューニング力が弱いので、より高い実験系へと改良することを計画している。
(4) 時空間パターンを利用した人工物システムの強化: 化学振動樹脂ビーズ系で、周期的電圧と同期してパターンも変化することを見い出すと共に、従来とは異なる「動的双安定」の存在を見い出したことは学術的にも価値がある。今後はこの発見を活用して、振動パターンに基づく「動的安定性」を利用した人工物システムの強化を行う。

Causes of Carryover

次年度使用が生じた理由は次の通りである。1.当初予定した実験を行うにあたり、装置の改良が必要となり、計画していた実験が一部遅れたため、試薬と器具の購入を見合わせた。これにより、試薬25万円、器具15万円、実験補助5万円の使用計画が遅れた。2.実験条件の確認のための実験を行っていた関係で、同様に計画していた実験が一部遅れたため、試薬と器具の購入を見合わせた。これにより、試薬20万円、器具15万円、実験補助5万円の使用計画が遅れた。これに合わせて研究打ち合わせの日程を延期したことにより、旅費が15万円分余ることとなった。これまで発展させてきた実験系に関して、より最適化した条件で行うための基礎研究が必要であることから次年度使用が生じた。
使用計画は次の通りである。現在、1の改良が終了し、2の改善点がクリアになったため、引き続き試薬45万円、器具30万円分を購入し、計画通り進めているところであり、当初の計画以上の研究が進展している。具体的には、研究進捗の中で、見出した動的双安定性を用いた人工系の強化のための研究を行う。またより自律的なシステムを導入するための研究を進めるための実験研究のために助成金を使用する。

  • Research Products

    (16 results)

All 2019 2018 Other

All Int'l Joint Research (3 results) Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (6 results) (of which Invited: 2 results) Book (1 results) Remarks (1 results)

  • [Int'l Joint Research] Poland Academy of Science(ポーランド)

    • Country Name
      POLAND
    • Counterpart Institution
      Poland Academy of Science
  • [Int'l Joint Research] Florida State University(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      Florida State University
  • [Int'l Joint Research] North Minzu University/Zhejiang Sci-Tech University(中国)

    • Country Name
      CHINA
    • Counterpart Institution
      North Minzu University/Zhejiang Sci-Tech University
  • [Journal Article] Self-Propelled Motion of a Camphor Disk on a Photosensitive Amphiphilic Molecular Layer2019

    • Author(s)
      Nakata Satoshi、Nasu Kyoko、Irie Yasutaka、Hatano Sayaka
    • Journal Title

      Langmuir

      Volume: 35 Pages: 4233~4237

    • DOI

      10.1021/acs.langmuir.8b04285

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Characteristic responses of a 1,2-dipalmitoleoyl-sn-glycero-3- phosphoethanolamine molecular layer depending on the number of CH(OH) groups in polyols2019

    • Author(s)
      Nakata Satoshi、Nomura Mio、Yamaguchi Yuta、Hishida Mafumi、Kitahata Hiroyuki、Katsumoto Yukiteru、Denda Mitsuhiro、Kumazawa Noriyuki
    • Journal Title

      Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects

      Volume: 560 Pages: 149~153

    • DOI

      10.1016/j.colsurfa.2018.10.012

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Modeling studies of heterogeneities in glycolytic oscillations in HeLa cervical cancer cells2019

    • Author(s)
      Amemiya Takashi、Shibata Kenichi、Du Yichen、Nakata Satoshi、Yamaguchi Tomohiko
    • Journal Title

      Chaos: An Interdisciplinary Journal of Nonlinear Science

      Volume: 29 Pages: 033132~033132

    • DOI

      10.1063/1.5087216

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Promotion and inhibition of synchronous glycolytic oscillations in yeast by chitosan2018

    • Author(s)
      Shibata Kenichi、Amemiya Takashi、Kawakita Yu、Obase Kohei、Itoh Kiminori、Takinoue Masahiro、Nakata Satoshi、Yamaguchi Tomohiko
    • Journal Title

      The FEBS Journal

      Volume: 285 Pages: 2679~2690

    • DOI

      10.1111/febs.14513

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Synchronization of self-propelled soft pendulums2018

    • Author(s)
      Nakata Satoshi、Kayahara Katsuhiko、Kuze Masakazu、Ginder Elliott、Nagayama Masaharu、Nishimori Hiraku
    • Journal Title

      Soft Matter

      Volume: 14 Pages: 3791~3798

    • DOI

      10.1039/c8sm00517f

  • [Presentation] 自己駆動体の往復運動2019

    • Author(s)
      中田 聡
    • Organizer
      反応拡散系と実験の融合
    • Invited
  • [Presentation] 形状に依存する自己駆動体の自己反転2019

    • Author(s)
      松藤丈郎・中田 聡
    • Organizer
      日本化学会春季年会
  • [Presentation] 2個のBZビーズのカップリングによる化学波の進行方向の変化2019

    • Author(s)
      久世雅和・中田 聡 他
    • Organizer
      日本化学会春季年会
  • [Presentation] BZ振動子に発現する時空間パターンの電圧制御2019

    • Author(s)
      坂本麻里・中田 聡
    • Organizer
      日本化学会春季年会
  • [Presentation] あたかも生き物のように振る舞う自己駆動体2018

    • Author(s)
      中田 聡
    • Organizer
      電子科学研究所 公開シンポジウム
    • Invited
  • [Presentation] 水面滑走するクマリン粒子の加水分解に対する応答2018

    • Author(s)
      入江康孝・中田 聡 他
    • Organizer
      日本化学会春季年会
  • [Book] Self-organized motion2019

    • Author(s)
      Satoshi Nakata, eds. et al.
    • Total Pages
      371
    • Publisher
      Royal Society of Chemistry
    • ISBN
      978-1-78801-166-2
  • [Remarks] 研究室ホームページ

    • URL

      http://www.mls.sci.hiroshima-u.ac.jp/bukkan/index_j.html

URL: 

Published: 2019-12-27  

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