2018 Fiscal Year Research-status Report
IoTを利用した林内放牧による野生動物との緩衝帯としての里山機能の創出
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17KT0145
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
出口 善隆 岩手大学, 農学部, 准教授 (40344626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 統一 岩手大学, 農学部, 助教 (20241490)
松原 和衛 (伊藤和衛) 岩手大学, 農学部, 准教授 (70258804)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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Keywords | 林内放牧 / 放牧牛 / 野生動物 / 被害対策 / センサーネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
移動式温度センサーは改良を行った。岩手大学農学部附属FSC御明神牧場で飼育されている黒毛和種繁殖牛の腟内に改良型移動式温度センサーを挿入し、膣内温度を6分間隔で計測した。計測データはセンサーネットワークを用いて、コンピュータに記録した。 体温データの取得に成功した。Max38.62℃、Min35.37℃であった。しかし、その後に脱落して林内で紛失した。原因は、基板を固定した尾のバンテージの固定とラインを折りたたんだ部分に排泄された糞がついて脱落のテンションがかかった可能性があった。以下の改良を行い、再度試験をおこなった。センサー部分をステンレスコーティングするとともに腟からから基盤までのラインの長さを約30cmにして尾に固定せずに垂らした。その結果、脱落なく体温データが取得された。 御明神牧場17林班内の林内放牧地(約7ha)に3カ所、放牧地と林地の境界線に3カ所、林地に6カ所の合計12カ所に自動撮影カメラを設置した。撮影された画像から野生動物種、撮影頭数、撮影日時等を調べ、放牧前と放牧中を比較し、林内放牧による野生動物への影響を調査した。2018年9月3日から9月20日までの18日間、雌の黒毛和種5頭を放牧した。放牧牛の6分おきに位置情報を取得した。統計解析は放牧前と放牧中の野生動物の撮影頭数について、カメラ稼働日数割合に沿って撮影されると仮定し、カイ二乗検定を行った。放牧前の野生動物撮影頭数は44頭、放牧中は2頭であった。また、カメラ稼働日数10日あたりの野生動物撮影頭数は放牧前が0.77頭、放牧中が0.11頭であった。放牧前と放牧中の野生動物撮影頭数には有意な偏りがあった。また、放牧全期間中のウシの行動範囲の最外郭面積は4.3haで全放牧地の約61%を利用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、移動式温度センサーが脱落して林内で紛失した。原因は、基板を固定した尾のバンテージの固定とラインを折りたたんだ部分に排泄された糞がついて脱落のテンションがかかった可能性があった。そこで以下の改良を行い、再度試験をおこなった。センサー部分をステンレスコーティングするとともに腟からから基盤までのラインの長さを約30cmにして尾に固定せずに垂らした。その結果、脱落なく体温データが取得された。また、「放牧地およびその周辺の林地に自動撮影カメラを設置し野生動物相の調査」では、林内放牧を行い、放牧前と放牧中を比較し、林内放牧による野生動物への影響を調査した。その結果、放牧前の野生動物撮影頭数は44頭、放牧中は2頭であった。また、カメラ稼働日数10日あたりの野生動物撮影頭数は放牧前が0.77頭、放牧中が0.11頭であった。これらの結果から林内放牧は野生動物被害対策としての効果を持つ可能性が示唆された。これらのことから、「おおむね順調に進展している」と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、「移動式温度センサーによる放牧牛の発情予測」について、人工草地放牧時から林内放牧時へと段階を経て、発情予測の可能性を検討する。「林内放牧地における野生動物の緩衝帯機能の評価」では、林内放牧は野生動物被害対策としての効果を持つ可能性が示唆されたが、野生動物の出現には季節変動があるため、野生動物の出現が多い月に林内放牧を行うことで、林内放牧は野生動物被害対策としての効果をよりメイア苦にする予定である。以上のように、計画通り3年間で研究を終了できる予定である。
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