| Research Abstract |
本年度は,ドライプロセスとしての"気相-液相界面放電プラズマ"を生成・制御し,DNA内包ナノカーボン創製実験へ向けた,プラズマ基礎特性評価に関する実験を中心に行った.さらに,ソフトプロセスとしての"溶液中電解質プラズマ"及びハードプロセスとしての"溶液中放電プラズマ"を用いて,DNA,イオン液体,コロイド等を包み込んだ内包ナノバイオマテリアル創製へ向けた実験を行った.
1.気相-液相界面グロー放電マイクロプラズマの生成・制御実験では,イオン液体をプラズマ実験系に新たに導入し,イオン液体-プラズマ界面を有するマイクロプラズマ形成に成功した.さらに,イオン液体導入による放電特性,プラズマパラメータの変化を調べることで,イオン液体前面にシース電場が形成され,気相領域から液相領域ヘイオン照射が行われたことを示唆する結果を得た.
2.溶液中電解質マイクロプラズマによる実験では,イオン液体をカーボンナノチューブへ照射することで,カーボンナノチューブの特性が顕著に変化することが明らかとなった.照射されたイオン液体の正イオン,負イオンがそれぞれ電子ドナー性,アクセプタ性を示すことから,カーボンナノチューブとの間で強い相互作用を引き起こしたためであると考えられる.
3.溶液中アーク放電マイクロプラズマによる実験では,鉄(Fe)電極を用いて純水中で放電を行ったところ,粒径8nmを中心として3nm〜10数nmの分布を持つFe微粒子(コロイド)の形成に成功した.
4.これらの結果は,微小領域におけるプラズマと溶液を異なる方法で融合させ,産業応用上有用と考えられる新機能性ナノバイオマテリアル,すなわち,DNA,イオン液体,コロイド内包カーボンナノチューブ創製に重要な役割を果たすものである.
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