2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18200024
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
北澤 茂 Juntendo University, 医学部, 教授 (00251231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神作 憲司 国立身体障害者リハビリテーションセンター(研究所), 感覚機能系障害研究部, 室長 (60399318)
高橋 俊光 順天堂大学, 医学部, 助教 (00250704)
和田 真 順天堂大学, 医学部, 助教 (20407331)
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Keywords | 時間順序判断 / 体性感覚 / サッケード / fMRI / ヒト / TMS / 異種感覚信号 / MEG |
Research Abstract |
昨年度までに我々はサッケードによる時間順序判断逆転の効果が皮膚刺激や音刺激の時間順序判断にも及ぶことを示した。サッケードは感覚信号に基づいて生成される「動き」の信号に影響を与えて時間順序判断を逆転させるのではないかと推測し(動き投影仮説)、次の研究を行った。 1.サッケードによって動きの信号の判断が逆転するのか? サッケードを行わせつつ様々なタイミングで視覚刺激を呈示して時間順序判断をおこなわせた。12名の被験者のうち、10名(男性4名、女性6名)では過去の報告(Morroneら)と一致した判断の逆転が観察された。一方で男性2名では逆転は見られなかった。同じ被験者群にランダムドットを呈示し、上下どちらの向きに動いていたかを判断させたところ、判断が逆転した10名では、サッケード直前に誤答率が増加した。サッケードによって動きの信号の判断が逆転するとともに、動き信号の逆転と判断の逆転が相関することが示された。 2.脳のどの領域が逆転現象に責任があるのか? 機能的磁気共鳴画像法で触覚の時間順序判断課題に寄与していることが期待される領域を特定し、磁気刺激の効果を調べた。特に側頭頭頂接合部周辺の領域を特定し、7名の被験者に対して磁気刺激の実験を行ったところ、交差に伴う逆転の割合が変化した。側頭頭頂接合部周辺が腕交差に伴う逆転に関与していることを示唆する。 3.α波と時間順序判断に関係があるのか? α波が脳の「クロック」であるという仮説(Kristopherson,1967)と視覚刺激の動きの知覚がα波の位相に依存するという報告(Varela et al.,1981)に注目して、時間順序判断課題を行う際のα波の位相と時間順序判断の逆転との関係を調べた。時間順序課題遂行中のMEG計測実験を行い、信号が良好に収集できた11名分のMEGデータを解析した。左右半球の後頭葉皮質に置いたセンサー間のコヒーレンス解析を行ったところ、腕交差条件における正解試行の刺激提示前後のα帯域のコヒーレンスが不正解試行に比べて顕著に上昇する傾向が観察された。この結果は、左右大脳半球のα帯域の協調が腕交差時の時間順序判断に重要であることを示唆する。
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