Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帰山 雅秀 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (80305937)
桜井 泰憲 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (30196133)
松田 裕之 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 教授 (70190478)
綿貫 豊 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (40192819)
宮下 和士 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (70301877)
|
Research Abstract |
本年度の成果は次のようにまとめられる。 1.知床を中心とした根室海峡からオホーツク海、そして太平洋の一部にいたる海域において2002年から2010年にかけての9年間について水温、クロロフィルa濃度の変動を時系列解析した。4月から5月にかけて北海道沖のオホーツク海全体にわたって高クロロフィルa濃度の海域が広がり、羅臼側においては10℃の水温になる6月頃にクロロフィルa濃度は最高値を示す年が多い。また,2006年と2008年は水温が上昇する前(春)にピークが見られ,さらにもう一度夏にピークを示した。 2.知床世界自然遺産海域の底魚魚類群集の夏と秋の食物網,およびROVにより海底に沈降した魚類がヒトデ類などによって捕食されて消失することを明らかにした。また,海洋生態系の保全と持続的漁業の共存を目指している海域管理計画の具体的課題の行動を開始した。 3.北海道系シロザケは,60年間(1945-2005年)にわたる鱗分析と成長バックカリキュレーション結果から,1990年代以降地球温暖化のプラスを影響受け1年目の成長量が増加し生残率が高くなり個体群サイズが著しく増加したこと,その結果,ベーリング海での限られた環境収容力により密度依存効果が顕著になったことが分かった。 4.知床周辺沿岸域は、夏から秋にかけて越冬地に渡る途中のハイイロミズナギドリ、アカアシミズナギドリ、ハシボゾミズナギドリと繁殖を終えたフルマカモメの重要な生息域であり、海水温の年変化がこれらの分布につよく影響することが明らかとなった。 5.6月上旬および10月上旬に根室海峡側でROV観測を行い,岩場に群れをなすメバル属魚類やミズダコの擬態などを観察した。また,これまでの知床周辺で収集された映像資料は,知床の自然について製作された2つの番組(The世界遺産,TBS系,2010/2/7,18:00-18:30;凍らぬ海,北海道テレビ放送株式会社,2010/3/710:45-11:45)で一部,放映された。 6.知床世界遺産地域の漁業自主管理の実態について、漁獲高と漁獲量および漁獲物平均栄養段階(MTI)の長期変動について分析し、MTIについては3.6程度で横ばいと優良であり、漁獲高と漁獲量から簡易的に評価する指標を提案した。これらの結果は、Matsuda et al(2009)ならびにMakino et al(2009)にまとめた。
|