2009 Fiscal Year Annual Research Report
プラハとダブリン ― 20世紀文学の総括の試みとしての『二都物語』
Project/Area Number |
18202008
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
城 眞一 Tokyo Medical University, 医学部, 教授 (60424602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 嘉彦 東京大学, 名誉教授 (50079109)
吉川 信 群馬大学, 教育学部, 教授 (70243615)
戸田 勉 山梨英和大学, 人間文化学部, 教授 (90217505)
夏目 博明 青山学院大学, 法学部, 教授 (60172574)
結城 英雄 法政大学, 文学部, 教授 (70210581)
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Keywords | 多民族性 / 多言語性 / 民族的アイデンティティ / 言語的アイデンティティ / 国際研究者交流 / チェコ:アイルランド:ドイツ / カフカ、リルケ / ジョイス、イェイツ |
Research Abstract |
過去3カ年の研究主題「ナショナリズムと民族問題」、「言語危機」、「神秘思想」を綜合する年度として、(1)研究報告集会、(2)招聘事業、(3)論文等の研究発表を行った。//(1)下田集会(8/1-8/3、於:蓮台寺荘):研究発表:桃尾美佳「アングロアイリッシュ文学」、三谷研爾「プラハのドイツ語文学の文化資源化現象」、吉川信「ウィリアム・カールトンと二つのアイリッシュ」、藤田教子「フランツ・カフカの『失踪者』について」他、/芦原集会(3/5-3/7、於:灰屋旅館)基調報告:城眞一「4カ年の研究活動回顧」、成果報告:吉川信+戸田勉「フォガティ教授講演について、その他」、平野嘉彦「ツィンマーマン教授講演会について、その他」、戸田勉「スライゴーとイェイツの墓碑銘」、鈴木里香「カフカの語法」、金子元臣「『ダブリンの文学』と『プラハのドイツ語文学』」他//(2)アン・フォガティ教授講演会:「自己再創造の必然性-ジョイスとイェイツ」(11/9、法政大、司会:結城)、「『ユリシーズ』に歴史を読む-ジョイスにおけるパーネル追想」(11/10、法政大、司会:戸田)、「<ザ・ローカル>再考-トランス・ナショナリズムと現代アイルランド小説」(11/12、ノートルダム女子大学、司会:夏目)、/ハンス・ディーター・ツィンマーマン教授講演会:「20世紀プラハのドイツ語文学」(1/24、東京医大、司会:城)、「世界の迷宮、カフカの長篇『審判』について」(1/25、東大、司会:平野)、「ドイツ語およびチェコ語文学におけるドイツ人とチェコ人の共生」(1/27、京大、司会:三谷)(3)は別表参照。これら一連の活動、とりわけ現地研究者招聘事業によって、プラハとダブリン出身の詩人たちは、二都市の多民族性(多宗教性)ないしは多言語性のただ中から新たなアイデンティティを求めて自らの言語世界を形成したこと、その過程で既存の国家、言語、宗教に関わる同一性を批判的に解体しつつ、再構築せざるを得ず、結果的にこのことが彼らを20世紀文学の先駆者としたことが、多様な方法で立証された。
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