2006 Fiscal Year Annual Research Report
考古資料における三次元デジタルアーカイブの活用と展開
Project/Area Number |
18202025
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
樋口 隆康 奈良県立橿原考古学研究所, 所長 (30025035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺沢 薫 奈良県立橿原考古学研究所, 調査研究部, 部長 (90250365)
岡林 孝作 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第1課, 主任研究員 (80250380)
奥山 誠義 奈良県立橿原考古学研究所, 資料室, 主任技師 (90421916)
水野 敏典 奈良県立橿原考古学研究所, 研究企画交流チーム, 主任研究員 (20301004)
古谷 毅 東京国立博物館, 保存修復課, 主任研究員 (40238697)
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Keywords | デジタルアーカイブ / 銅鏡 / 銅鐸 / 三次元計測 / 三角縁神獣鏡 |
Research Abstract |
前回の科研(研究代表:樋口隆康)「三次元デジタルアーカイブを活用した古鏡の総合的研究」おいて650面以上の銅鏡のデータを蓄積できた。今回は、この計測データを継承し、さらなるデータの蓄積を目的として、考古資料のデジタル化をすすめた 銅鏡としては、奈良県高松塚古墳の海獣葡萄鏡、兵庫県神戸市白水瓢塚古墳、福島県会津大塚山古墳出土鏡、奈良県内の銅鏡などの計測を行った。 さらに今回は調査対象を考古資料全般に広げ、目視で確認しにくい文様の可視化、鋳型製品の詳細な比較を可能とする利点を生かし、?仏(奈良県二光寺廃寺など)などの三次元計測による画像作成を試み、成功した。従来、銅鏡などの平面的な資料の計測を行ってきたが、あらたに奈良県桜井市大福遺跡出土銅鐸を対象として、立体物の計測を試み、その計測方法を考案し、その画像化を進めた。 その一方で、研究発表を進めた。特に三角縁神獣鏡の鋳型のキズに注目して、日本考古学協会において「『同箔鏡』にみる三角縁神獣鏡における笵複製の可能性」を発表した。三角縁神獣鏡「同笵鏡」の比較を行い、鋳型表面の傷の増加傾向を確認するとともに、ひとつの鋳型では説明が困難な現象を指摘し、「同笵鏡」製作に複数の鋳型が用いられている可能性を示し、その製作モデルを発表した。また、日本文化財科学会のポスターセッションにおいて「三角縁神獣鏡『同笵鏡』における三次元デジタルアーカイブの考古学的研究への応用」を発表した。従来、同一文様と考えられていた「同笵鏡」におけるさまざまな文様の改変、鋳型の補修などの現象を指摘し、その製作方法について検討を加えた。 さらに、計測データの一般への活用法を模索し、博物館展示を補助するソフトウェアとして「デジタル図録『〜青銅鏡〜文化財デジタルアーカイブ』」を試作し、橿原考古学研究所附属博物館に観覧者へのアンケートとともに機器を設置し、現在、運用中である。
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