2009 Fiscal Year Annual Research Report
考古資料における三次元デジタルアーカイブの活用と展開
Project/Area Number |
18202025
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
水野 敏典 Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture, 埋蔵文化財部, 主任研究員 (20301004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺沢 薫 奈良県立橿原考古学研究所, 総務企画部, 部長 (90250365)
奥山 誠義 奈良県立橿原考古学研究所, 総務企画部, 主任研究員 (90421916)
山田 隆文 奈良県立橿原考古学研究所, 附属博物館, 主任研究員 (30301005)
岡林 孝作 奈良県立橿原考古学研究所, 附属博物館, 総括学芸員 (80250380)
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Keywords | 三次元計測 / 銅鏡 / 銅鐸 / デジタルアーカイブ / 沖ノ島 / 同笵鏡 / 同型鏡 / 兄弟銅鐸 |
Research Abstract |
考古資料の三次元計測を継続し、研究報告書をまとめた。その中で技術的には大型立体物の三次元計測を行うことが可能となった。新たに銅鐸を研究対象に加えることで、弥生時代の銅鐸から古墳時代の銅鏡への製作技術の継続性あるいは断絶について検討するという研究展開が可能となった。これについては来年度以降の学会発表の準備を行った。 今年度は、(1)日本考古学協会での「三次元計測技術を応用した倭鏡における同一文様鏡の検討」、日本文化財科学会での(2)「考古資料における三次元デジタルアーカイブの活用」、(3)「ツールとしての三次元形状計測」などの学会発表を行った。(1)では、類似文様であるが別鋳型による製品とされていた新山古墳出土の内行花文鏡に対して、櫛歯文の乱れや花文の一部に文様の一致を確認し、5種類の鋳型を改変して13面の近似した銅鏡の作製例を確認した。(2)では保存処理前後の木製品の三次元計測により、その変形を立体物としてとらえ、計測ツールとしての三次元形状計測の有効性を検証した。 本研究では、沖ノ島出土鏡を含む宗像大社所蔵の70面を含む約300点の銅鏡と兄弟銅鐸16点を含む考古資料約100点を計測し、デジタルアーカイブの蓄積を進めた。継続的な研究により銅鏡の計測はのべ900面を超え、三角縁神獣鏡の過半数を計測したことになる。併行して、(4)「沖ノ島出土鏡の再検討」、(5)「三次元計測データを用いた鏡の観察手法」、(6)「沖ノ島出土鏡の表面の特徴からみた伝沖ノ島出土鏡の検証」、(7)「三次元計測データの展示への活用」等の考古学的、博物館学的な研究を進め、(4)では、新たな三角縁神獣鏡の同笵関係等を確認し、(6)では沖ノ島出土品に特徴的な銅鏡表面の状況を見出し、伝沖ノ島出土鏡について検討を行い、個別研究も進めた。さらに研究成果をまとめた報告書を刊行する事で、考古資料における三次元デジタルアーカイブの技術的な展望と具体的な応用成果を提示できた。
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Research Products
(4 results)