Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 博文 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20177207)
樋口 保成 神戸大学, 理学部, 教授 (60112075)
熊谷 隆 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90234509)
種村 秀紀 千葉大学, 理学部, 教授 (40217162)
乙部 厳己 信州大学, 理学部, 講師 (30334882)
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Research Abstract |
大規模相互作用系とは,巨視的に観測される様々な現象を微視的レベルから解析し理解するために導入される数理モデルの総称である。対象とする系は,一般に莫大な量の自由度を有する。以下,本年度の研究実績からいくつか具体的に述べる。 1.研究代表者の舟木は,一般にd次元Bessel過程,その幕,あるいは局所時間などについて,確率積分を論じた。これらの確率過程自身による確率積分を定義するには,被積分関数に対していわゆるJeulinの条件を仮定する必要があるが,中心化過程に基づいて議論すれば,被積分関数は一般の2乗可積分関数にとることができる。その背景には,平均値との差を考えることによる「相殺」の効果がある。大規模相互作用系の一種である壁上の界面模型が,この研究の直接的な動機となった。 2.d次本Gauss的ランダムウォークにピンニングの効果(原点へのジャンプ)を加えて得られるマルコフ連鎖に対して,見本路大偏差原理を示すことができる。もし,その速度汎関数の最小点が一意ならば,スケール変換されたマルコフ連鎖に対して大数の法則が成立し,一意的な最小点が極限になることがわかる。しかし,最小点が2個ある場合には,極限の特定は非自明である。舟木は,そのような場合を考察しスケール極限として現れる最小点を決定した。 3.研究分担者の長田は,Ginibre点過程について,有限粒子系近似に関する,モーメントのー様評価を行った。 4.研究分担者の熊谷は,1次元ロングレンジパーコレーション上のランダムウォークについて,飛躍が大きい部分の効果が弱い場合に,熱核や脱出時刻の漸近挙動などを解析した。 5.国際研究集会「大規摸相互作用系の確率解析」(九州大学西新プラザ,10月22日〜26日を開催し,本科学研究費補助金により多数の研究者を海外から招聘し,活発な研究報告,討論を行った。
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