2007 Fiscal Year Annual Research Report
ASTRO-F衛星による大マジェラン雲及び近傍銀河中の星間物質の循環・進化の研究
Project/Area Number |
18204014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾中 敬 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 好一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011740)
田辺 俊彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (90179812)
金田 英宏 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30301724)
板 由房 国立天文台, 国際連携準備室, 研究員 (30392814)
河村 晶子 名古屋大学, 理学研究科, 研究員(COE) (30377931)
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Keywords | 大マジェラン雲 / 赤外線衛星観測 / 近傍銀河 / 「あかり」衛星 / 星間物質 / 星間塵 / 星形成 |
Research Abstract |
平成19年度は「あかり」による大マジェラン雲観測のデータ整約を進め、予備的な撮像データから点源カタログを作成した。現在カタログの詳細な確認作業を行っている。同時に分光データ解析を進め100個程度の赤外線源の2-5μmのスペクトルを抽出した。このスペクトルから大部分は進化の進んだ炭素星であることを確認し、一方約10個の天体が大質量の前期主系列星であることを明らかにした。さらにこの前期主系列星のスペクトル中の水及び二酸化炭素の氷の吸収バンドの解析から、両者の存在量を導き、大マジェラン雲では、我々の銀河系より二酸化炭素の氷の存在量が多いことを明らかにした。この結果は、金属量・放射強度などの物理量が我々の銀河系と大マジェラン雲中で異なることに起因するものと推定され、現在詳しい検討を行っている。また小マジェラン雲中の超新星残骸を近赤外域で初めて検出し、周囲の星間物質との相互作用が銀河系内の超新星残骸と大きく異ならないことを示した。これらの研究と平行し、近傍銀河の「あかり」データ解析をすすめ、近傍矮小銀河であるNGC1569の銀河からの放出流により形成される衝撃波の中に星間有機物が存在することを初めて検出した。通常衝撃波にともなう高温プラズマ中では星間有機物は十分に短い時間尺度で破壊されることが予想されていた。この結果は、有機物の起源及び衝撃波内での破壊過程に大きな制限を与えるものである。現在さらに詳細な検討を進めている。
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Research Products
(13 results)