2009 Fiscal Year Annual Research Report
ASTRO-F衛星による大マジェラン雲及び近傍銀河中の星間物質の循環・進化の研究
Project/Area Number |
18204014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾中 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 俊彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (90179812)
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Keywords | 大マジェラン雲 / 赤外線衛星観測 / 近傍銀河 / 「あかり」衛星 / 星間物質 / 星間塵 / 星形成 |
Research Abstract |
本年度は近・中間赤外線(IRC)によるLMCサーベイデータからの点源カタログ完成、近傍銀河観測データ解析、近赤外分光データの解析を中心に行った。まずサーベイデータの解析では、特にIRCの中間赤外線のフラットのデータに散乱光が大きく影響していることを定量的に確認し、その影響を取り除いたフラットの作成を行った。このフラットを用いて、LMCのデータの再解析を行い、点源のフラックスの再評価を行い、Spitzer衛星データとの比較を行い、よい一致を示すことを確認した。作成したカタログの検証も行った。カタログは平成22年度中の一般公開する予定で、文書などの用意を行った。近傍銀河の観測では、矮小銀河NGC1569からのoutflow中にPAHの存在を分光データで確認した。同様に横向き銀河NGC253,M82についても、銀河ディスクからのoutflowに伴うダストの存在を撮像データから確認した。一般にoutflow中ではダストは短い時間で破壊されることが予想される。本研究での観測結果は、PAHのような超微粒子がoutflowに伴う衝撃波中で、大きな粒子からのfragmentationにより生成されている可能性、あるいは破壊のタイムスケールが予想より長い可能性を強く示唆し、銀河ディスク外に放出されたダストが宇宙空間の物質進化に重要な役割を持つことを初めて示した。近赤外線分光データについては、レスポンスカーブ及び絶対感度の較正を精密に行い、解析手法を確立した。この手法に基づき銀河面の分光データの解析を行い、3ミクロン帯のPAHの輝線バンドのプロファイルが銀経により系統的に変化している証拠を初めて得た。
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