2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18206041
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水谷 孝 名古屋大学, 大学院工学研究科, 教授 (70273290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坂 次郎 名古屋大学, 大学院工学研究科, 教授 (20377849)
岸本 茂 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (10186215)
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Keywords | GaN / HEMT / ノーマリオフ / フッ素プラズマ処理 / InGaN cap / ひずみ電界 / しきい値電圧シフト / 電流DLTS |
Research Abstract |
GaN HEMTは電子のピーク速度が高く、またバンドギャップが広く高耐圧であることから、高周波・高出力素子としての期待が高い。これまでの検討は高周波用のノーマリオン型デバイスであったが、今後の高出力スイッチング応用を考えた場合ノーマリオフ型化は必須の重要な課題である。 これを実現する方法として、まずAlGaN/GaNヘテロ接合におけるAlGaN障壁層の厚みを薄くする方法を検討した。これによりしきい値電圧0.2Vのノーマリオフ動作を確認したが、ソース抵抗が大きく相互コンダクタンスは約50mS/mmとノーマリオン型素子の半分以下であった。また本素子の過渡応答解析を電流DLTSを用いて行ない、本電流DLTSがノーマリオフ型デバイスの評価に有効であることを示した。 相互コンダクタンスが大きなノーマリオフ型HEMTを実現する方法として、ゲート開口部のみフッ素プラズマ処理することを検討した。フッ素は電気陰性度が高くこれをゲート部のAlGaN障壁層にのみ導入することでノーマリオフ化を図ることを狙いとしている。フッ素プラズマ処理の条件を検討し、AlGaNのエッチングが比較的少ない条件でしきい値電圧シフト約4V、しきい値-0.1Vの動作を確認した。この時の相互コンダクタンスは約140mS/mmとノーマリオン型と同程度であり、本フッ素プラズマ処理の有効性を確認した。また本方法で作製したデバイスのしきい値は200℃、200日間の高温保管においても変化することなく安定であることを明らかにしたが、結晶中に導入したフッ素の移動に伴うしきい値電圧シフトは更に高温の場合には懸念される。 この問題の生じない方法としてInGaN cap層を素子表面に導入し、これに伴うひずみ分極によるしきい値電圧の正側へのシフトとそれによるノーマリオフ化を提案し、1.9Vのしきい値電圧シフトとしきい値電圧0.4Vのノーマリオフ動作を実現した。
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