Research Abstract |
本年度に実施した研究により,以下の研究成果をえた。 1.周辺柱にCFT柱を用いた3層制振壁(履歴ダンパー内蔵型耐震壁)で,地震後に損傷した繋梁を取替え可能なタイプの試験体を製作し実験を行い,第1回実験終了後に2本の繋梁を新しい繋梁に取り替えて再実験を行った。その結果,提案する方法で製作した制振壁の繋梁の取替えは簡単に実施でき,取替え後の制振壁の性状はほぼ理想的な制振部材としての挙動を示すことを明らかにした。 2.耐震要素としては制振壁のみからなる「片持壁構造」の耐震性能を,3,6,12,18層のプロトタイプ建物を想定して,それらの建物に対して静的および各種地震波に対する動的応答解析を行った。その結果,最大地震動速度50kineの各種地震波に対する最大応答層間褒形角が0.01rad.以内という性能を満足するために要求される必要ベースシアー耐力は0.15から0.05(低層ほど大きい)で十分であることが明らかになり,「片持壁構造」が地震国である日本においても設計可能であることが分かった。 3.制振壁を設計する場合に,損傷制御設計を行うためには,脚部において剛体的な回転を防ぐ必要があるが,回転を防ぐための設計条件(手法),許容できる回転量とその場合の設計条件(手法)を静的,および動的応答解析により明らかにした。 4.3層制振壁のランダムな加力プログラム下での弾塑性挙動,中間柱の設計詳細など,解決すべき残された問題を明にするための試験体を4体設計,製作した。実験実施は平成20年度である。 5.圧着工法により施工したプレキャスト合成構造骨組(2層1スパン試験体2体,2層3スパン試験体1体)の実験を昨年度に実施した。実験により得られた復元力特性,最大耐力を推定する解析手法を開発し,層その結果を日本建築学会構造系論文報告集に投稿した(2008年6月号掲載決定)。
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