2008 Fiscal Year Annual Research Report
超小型放電型D-3He核融合陽子源によるPET用トレーサー生成の研究
Project/Area Number |
18206096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉川 潔 Kyoto University, エネルギー理工学研究所, 非常勤講師 (00027145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 開 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (80303907)
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Keywords | D-3He核融合 / 陽子源 / マグネトロン型イオン源 / 陽電子放射断層撮影 / PETアイソトープ |
Research Abstract |
本研究では、大型陽子加速器が必要で一般の中規模病院が導入するには高価すぎるという現在のPET癌診断の問題を克服するため、静電慣性閉じ込め(IEC)核融合を応用したD-3He核融合反応陽子(14.7MeV)を定常的に生成できる直径1m程度以下の極めて構造が簡素で安価な超小型陽子源の実現に向けた基礎的研究を行っている.そのため,従来のIECにおいては限界出力に達しつつあるビーム対ガス衝突核融合のスキームから脱却し,投入電流の2乗に比例した飛躍的な高出力化が期待されるビーム対ビーム衝突核融合反応を生起することを目指し,環状イオン源駆動型IECを新たに提案した. すなわち,従来のIEC装置を構成する同心球状の接地陽極と中心グリッド陰極との間に環状永久磁石列を設置し,1 mPa程度の低圧力下でも放電維持可能な直流マグネトロン放電を生起して環状のプラズマを生成,イオンを中心のグリッド陰極に加速・集束して核融合反応を生起する. 先ず小型試作機を用いた予備実験を行って,磁石列の間隔や磁石列と陽極との距離,また,磁石列と中空陰極への印加電圧比などのパラメータと動作圧力・電流の関係を調査し,最終的に直径60cmの装置を設計・製作して重水素ガスを用いた実験を行った.その結果,以下のように,ビーム対ビーム反応を強く示唆する期待以上の成果が得られた: (1) 5.5 mPa(重水素)の低圧力下で中心グリッド陰極電流を0.1〜0.9mAの範囲で変化させて中性子発生率を測定したところ,中性子発生率は電流の1.7乗に比例,非線形な依存性の初めての観測に成功した. (2) 0.4mAにおいて重水素ガス圧力を5-100 mPaの範囲で変化させたところ,従来見られなかった興味深い依存性を示した.すなわち,10 mPa程度までは圧力低下に伴い中性子発生率は減少したが,それより低圧力の領域では増加した.
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Research Products
(5 results)