2006 Fiscal Year Annual Research Report
ストリゴラクトン生合成・分泌の分子機構とその調節による寄生・共生の制御
Project/Area Number |
18208010
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
米山 弘一 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 教授 (00114174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 安智 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 教授 (90008003)
関本 均 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10261819)
横田 孝雄 帝京大学, 理工学部, 教授 (40011986)
杉本 幸裕 神戸大学, 農学部, 教授 (10243411)
秋山 康紀 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (20285307)
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Keywords | 根寄生雑草 / 発芽刺激物質 / ストリゴラクトン / LC / MS / 宿主認識メカニズム / 菌糸分岐誘導物質 / アーバスキュラー菌根菌 / カロテノイド |
Research Abstract |
タバコとアマの根滲出液から2種類の新規ストリゴラクトンを単離し、構造を決定した。また、1992年にササゲから単離され構造不明のままであったアレクトロールの構造を明らかにした。さらに、ソルガムおよびエンドウが分泌する新規ストリゴラクトンの推定構造を提出した。このように、新規ストリゴラクトンの探索と構造決定は極めて順調に進展した。なお、備品として購入したGC/MSは、構造決定と同定に有効に活用した。 植物栄養条件がストリゴラクトン生産・分泌に及ぼす影響を解析した結果、根粒菌と共生するマメ科植物ではリン酸欠乏下でのみ生産・分泌が促進されたのに対して、根粒菌と共生しないイネ科植物、キク科植物では、リン酸欠乏だけではなく、窒素欠乏条件でも促進された。一方、アーバスキュラー菌根菌(AM菌)と共生しない植物では、栄養条件の影響は認められなかった。すなわち、植物の栄養獲得戦略とストリゴラクトン生産・分泌とが良く対応していることが分かった。 適切な施肥および全身獲得抵抗性を誘導する薬剤の利用による根寄生雑草オロバンキの制御あるいは寄生回避を、室内および温室内実験で確認した後、オーストラリアの根寄生雑草(Orobanche ramosa)汚染地帯での小規模な圃場試験によって実証を試みた。しかし、異常気象と試験開始時期の遅れから、期待した結果は得られなかった。今後、根寄生雑草の圃場試験に充分な実績を有する海外研究者との共同研究を進める。 生合成経路の解明はそれほど進展しなかったが、ストリゴラクトンはカロテノイドの酸化開裂によって生合成されるという説が有力視されている。アカクローバーおよびトウモロコシでは、カロテノイド生合成阻害剤のフルリドンを投与するとストリゴラクトン分泌量が低下した。カロテノイド酸化開裂酵素の新しい阻害剤が開発されつつあるので、次年度はそれらを使ったアプローチも試みる予定である。
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Research Products
(2 results)