2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストリゴラクトン生合成・分泌の分子機構とその調節による寄生・共生の制御
Project/Area Number |
18208010
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
米山 弘一 Utsunomiya University, 雑草科学研究センター, 教授 (00114174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 安智 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 名誉教授 (90008003)
関本 均 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10261819)
横田 孝雄 帝京大学, 理工学部, 教授 (40011986)
杉本 幸裕 神戸大学, 農学部, 教授 (10243411)
秋山 康紀 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20285307)
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Keywords | 根寄生雑草 / 発芽刺激物質 / ストリゴラクトン / アーバスキュラー菌根菌 / 宿主認識メカニズム / 菌糸分岐誘導物質 / カロテノイド / 枝分かれ抑制ホルモン |
Research Abstract |
新規ストリゴラクトン(SL)の探索を行った結果、キュウリ、アマから、7α-および7β-ヒドロキシオロバンコールおよびそのアセテートを単離・構造決定した。また、エンドウからはファバコールの単離に成功した。各種植物の根浸出液を精査したところ、前者は植物界に比較的広く分布していることが分かった。なお、イネ、トウモロコシなどの水耕液から新規SLが検出されており、現在構造解析を進めている。 陸上植物の中で進化的にもっとも基部で分岐したコケ植物の内、蘇類のヒメツリガネゴケは、MAX1ホモログを持っていないにも関わらずSLを生産していることが明らかとなった。さらにカロテノイド酸化開裂酵素遺伝子(CCD8)破壊株もSLを生産していることから、ヒメツリガネゴケのSL合成経路は高等植物とは異なっていることが示唆された。 植物の水耕液から単離されている11種のSLの根寄生植物ヤセウツボ種子に対する発芽刺激活性を調査した結果、発芽刺激活性にはSL間で100倍以上の差があること、SLの疎水性および化学的安定性が発芽刺激活性に影響することが分かった。 植物は複数のSL混合物を分泌していることから、2種類のSLを混合した場合の発芽刺激活性を数種類の根寄生植物種子を用いて検定した。その結果、根寄生植物種によって個々のSLおよびその組み合わせに対する感受性が異なっており、相加的効果や拮抗的効果が認められた。すなわち、SLの組み合わせが、発芽時における宿主認識に関与していると考えられる。 合成SLのGR24から誘導した飽和型GR24は中程度のAM菌の菌分岐誘導活性を示すが根寄生植物の発芽を阻害し、幼根の伸長を抑制する。飽和型GR24はポット試験においてヤセウツボの寄生率を低下させたことから、根寄生雑草の新しい制御方法への展開が期待される。
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