2007 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫嗜好性線虫の侵入定着と遺伝的構造に及ぼす種間交雑と媒介昆虫種数の影響
Project/Area Number |
18208013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富樫 一巳 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30237060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 耕平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30272438)
練 春蘭 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 准教授 (40376695)
坂上 大翼 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (90313080)
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Keywords | マツノザイセンチュウ / ニセマツノザイセンチュウ / 材線虫病 / エゾマツ / 媒介昆虫 / 伝染病 / 侵入生物 / トドマツ |
Research Abstract |
北海道富良野市産と広島県高野町産のニセマツノザイセンチュウ(以後ニセマツと略)はその他の系統よりもマツノザイセンチュウ(以後ザイセンと略)との雑種形成能力が高かった。DNA解析によってそれらニセマツ2系統は欧州型であることが分かった。2種線虫の4親系統と種間雑種8系統を2年生クロマツ100〜120本ずつに接種した。その結果,マツノザイセンチュウの2系統による枯死率は0.69,0.42であり,ニセマツノザイセンチュウ3系統は全て0.0であった。また,雑種個体群の中で核ゲノムの大部分がザイセンのそれになっている場合だけ枯死率が0.40,0.48であり,ニセマツのそれになっている場合は全くマツを枯らすことができなかった。後者の場合,細胞質がザイセン由来であってもニセマツ由来であっても枯死率に違いがなかった。このことから病原性の遺伝子は核内にあると判断された。 北海道の媒介昆虫シラフヨツボシヒゲナガカミキリ(以後シラフと略)をエゾマツとトドマツの小丸太を用いて実験室で飼育した。その結果,羽化率は樹種間で違いはなかったが,発育速度は16時間明期より8時間明期の条件下で長くなった。成虫はトドマツよりエゾマツの枝を有意に好んで摂食したが,樹種間で産卵選択は認められなかった。このことからシラフ成虫は健全なエゾマツと枯死したばかりの2種の樹木に線虫を伝播すると考えられた。 クワ園でカミキリ3種の個体群動態とクワノザイセンチュウ保持個体数の割合の調査をおこなった。キボシカミキの成虫は6月から12月まで発生したが,他の2種は6〜8月にしか発生しなかった。キボシカミキリ成虫のクワノザイセンチュウ保持率は平均45%であり,クワカミキリとトラフカミキリのそれは各々33と0%であった。クワノザイセンチュウの遺伝的マーカーのプライマー設計ではユーティリティのチェックだけが残った。
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