2006 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨内骨化を統合的に制御する分子ネットワークの解明
Project/Area Number |
18209047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40282660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 敏之 東京大学, 医学部附属病院, 客員教員 (80322759)
鄭 雄一 東京大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (30345053)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
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Keywords | 軟骨 / p63 |
Research Abstract |
初年度の今年は、p63がTAK1の下流のキナーゼであるMKK3,4,6,7やPTHrP受容体およびその下流のG蛋白(Gs)の恒常活性型変異体と協調的に働いてSOX6およびII型コラーゲンの転写を誘導することを示し、p63がTGFβ、BMPファミリー分子やPTHrPの下流でp38MAPK, JNK, PKAによるリン酸化により活性化される可能性が示唆された。リン酸化部位の絞込みを行うためにp63遺伝子内の変異体を終了した。今後の解析にそなえた。 p63をATDC5に強制発現するとX型コラーゲンが誘導され軟骨の初期分化のみならず後期分化も支配していると考えられた。p63のアイソフォームについて検討を行ったところ、初期分化に対してはp63βの活性が高く、p63αはほとんど活性がないことが明らかになった。またp63γを安定導入した軟骨細胞やATDC5はアポトーシス感受性が亢進することが示されたが、アポトーシス関連分子であるBAX, BIM, FASLGなどのプロモーターの転写活性はp63のアイソフォーム間で大きな変化はなくp63γ特異的転写ターゲットが他に存在することが示唆された。また、p63と協調的に働く転写因子としてC/EBPβ,C/EBPε,GATA5,RUNXファミリー分子を同定した。p63の軟骨分化マーカー遺伝子転写調節領域への結合を検討すると、SOX6,SOX9,II型コラーゲンについては近位プロモーターから5'UTRの転写開始点近傍に、また肥大分化マーカーであるX型コラーゲンについてはイントロン1の中央に直接結合することが明らかになった。 p63のノックアウトマウスの骨格系をin situ hybridyzationで評価すると発生中期のE11-13では軟骨がほとんど形成されずSOX6,SOX9,II型コラーゲンの発現が著しく低下、E17では小さな軟骨塊が形成されるが正常胎仔にくらべ分化マーカーの発現は低かった。一方BrdUの取り込みに大きな差はなく軟骨分化障害により四肢の伸張が阻害されていると考えられた。またX型コラーゲン陽性の肥大軟骨細胞層はE17でも完全に欠落しているかその横径が著しく狭小化しており一連の軟骨分化のシークエンスに必須の転写因子であると判断された。 以上より、p63はダイナミックにその機能を変えて軟骨内骨化を統合的に制御することが示された。p63を軸とした軟骨分化分子ネットワークの解明を更に進めていく予定である。
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