2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18255004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大場 秀章 The University of Tokyo, 総合研究博物館, 名誉教授 (20004450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 博 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (30299177)
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国・ネパール / 分類学 / 系統進化 / 植物相 / 種多様性 / ヒマラヤ / 高山 |
Research Abstract |
高山に発達する植物相の多様性や環境との関連を研究する上で、世界最大の山脈であるヒマラヤは最適なフィールドである。日本には1950年代以来の研究蓄積もあり、分析には過去に蓄積された資料も活用することができる。そのようなことを背景に、平成20年度は、これまで調査が充分に行われていなかった西ネパール・ジュムラ地方と、中央ネパール・マナスル地方で調査を行った。 両調査ともに、現地ではGPSで緯度・経度・高度を測定し、アスマン温湿度計などを用いて環境条件を把握するための諸測定を行い、調査地域に見いだされた高等植物全種について、生育状況を調べ、標本として採集した。特にユキノシタ属(ユキノシタ科)、キジムシロ属(バラ科)、トウヒレン属(キク科)、メコノブシス属(ケシ科)、ツリフネソウ属(ツリフネソウ科)、シャクナゲ属(ツツジ科)、オオバコ科、カヤツリグサ科などについては、分子遺伝学や細胞遺伝学的な解析に用いる試料を野外で採集した。 収集した標本・試料と、これまでに蓄積された標本などを用いて分析を行った結果、ツリフネソウ属2種の新種の記載が行われた。また、トウダイグサ属(トウダイグサ科)3種について染色体の核型を報告したほか、キジムシロ属、オオバコ属、Erioscirpus属(カヤツリグサ科)、シャクナゲ属については、DNAの系統解析に基づく進化や分散過程について議論を行った。調査に関する行動記録は、雑誌に発表した。また、2008年3月に出版した"Flora of Mustang, Nepal"の記念講演会を2008年6月に新潟で開催し、得られた成果発表を行った。
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