2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯泥炭湿地林でのCDM植林を含む総合的環境修復を可能にするための基礎研究
Project/Area Number |
18255008
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高瀬 恵次 Ehime University, 農学部, 教授 (90133165)
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Keywords | 環境政策 / 環境対応 / 気候変動 / 生態系修復・整備 / 森林工学 / インドネシア / 泥炭湿地林 / CDM |
Research Abstract |
本年度は研究計画最終年にあたるため、各項目の研究まとめと、以下の補足的調査研究をおこなった。 1. 泥炭蓄積モデルの発展と検証:分解速度は表層で速く、地下部で遅かった。また、地下部の材の重量減少の大部分は体積の減少ではなく密度の減少に起因していた。このことから、泥炭地下部に存在する木質化した根は、その形状を保持したまま泥炭層に組み込まれて行くことが明らかとなった。 2. 湿地林で使える多変量アロメトリー式等の提出:現地調査の結果得られたアロメトリー式の調整と改良をおこなった。 3. 温室効果ガス収支の水位・植生依存性:これまで得られたデータをもとに、水位が湿地林に生育する樹木の葉の形質に与える影響を解析した。その結果、水位の低い湿地林の個体が高い湿地林の個体よりも、葉が厚く、硬く、総フェノール量の多い葉をつけていた。これは、水位調節による土壌の乾燥化が乾燥に強い葉の形質に変化させたものと考えられる。 4. 硫酸酸性地帯の土壌・水質改良:中央カリマンタン州北部の丘陵地で農地としての利用や森林荒廃の状況について問題点や展望を考察した. 5. 効果的な水位回復工事に必要な水文学的研究:水位回復工事についての資料収集をおこなった。 6. リーケージ(社会的悪影響)を回避する方法の開発:ボルネオ/カリマンタン島の他の地域-マレーシア・サラワク州、及び、インドネシア・中央カリマンタン州・東カリマンタン州・北スマトラ州において森林管理の政策策定や実務に携わる人々の意見をまとめた。 2010年1月25-27日に愛媛大学農学部において、現地の研究者3名を招へいしてワークショップ「Ecology and Management of Peat Swamp Forest in Central Kalimantan」を開催した(参加者50名)。また、ワークショップのプロシーディングス(87pp)を出版した。
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