2006 Fiscal Year Annual Research Report
カニクイザル・テーラーメードES細胞を用いた移植医療モデルシステムの構築
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18300140
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
鳥居 隆三 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 教授 (50106647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 英明 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 助手 (10378440)
高田 達之 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 助教授 (90206756)
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Keywords | カニクイザル / 体細胞核移植 / 電気融合 / 細胞質内注入 / 初期化 |
Research Abstract |
本年度は、体細胞核移植を行うためのより多くのかつ質の高い成熟未受精卵子を効率良く採取するための、個体の選抜、卵巣刺激方法について検討し、さらに未成熟卵子の体外培養方法についても検討を加えた、その結果、ベトナム及びインドネシア産の成熟個体から、FSHとhCG投与によって、核移植に必要な成熟未受精卵子が採取でき、これは2回まで効率が維持できることを確認できた。また未成熟卵子を卵丘細胞、卵胞由来細胞、卵管上皮細胞、可溶化羊膜ディッシュ、卵丘-卵子複合体において体外成熟を試みた結果、卵管上皮細胞と羊膜細胞の可溶化成分を加えたディッシュ上においてGVからは26-32%、MIからは44-70%の割合でMIIへと成熟させることが出来たことから、今後さらにEGF等の成長因子を加えること、また成熟した卵子の質を検討するため顕微授精による胚の発生等について検討する予定である。一方、核移植法の具体的な技術的な面を検討するためための、除核操作時における化学的および物理的要因について検討した。その結果、除核および活性化処理に用いる各種試薬やピエゾ装置を用いたガラス管による除核方法は単為発生の成績を指標として見た結果、胚の発生に大きな影響をもたらすものではないことを確認した。次に、実際の体細胞核移植を行うに当たって、細胞の種類と移植方法について検討した。その結果、ドナー細胞として羊膜細胞を用いて電気融合法を行った時、活性化試薬がシクロヘキシミドの場合は9%、カルシウムイオノフォア+6DMAPの場合は39%の割合で胚盤胞期胚へと発生させることが出来た。一方、胎子線維芽細胞を用いてピエゾ注入法により核移植を行った時、活性化試薬がカルシウムイオノフォア+6DMAPの場合のみに22%の割合で胚盤胞期胚を作製することに成功した。これに加えて、ドナー細胞を除核した卵子へ電気融合または注入するまでの時間を初期化時間として、胚のホールマウント標本を作成してPCC(Premature chromosome condensation)を指標として1、2、4時間で検討した結果、1時間日でPCCが確認でき、核の再形成が行われていることも確認できた。一方、多くの再構築胚は6〜8細胞期胚で発生を停止していたことから、今後この原因を明らかにすることが再現性ある核移植法の確立に繋がるものと考えている。本年度は、少なくとも、体細胞核移植法で胚盤胞期胚の作成に成功し、さらに体細胞核移植にはドナー細胞の種類により核移植の方法、活性化試薬の至適条件が異なることを示唆することが出来た。
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Research Products
(3 results)